2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19656012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斉木 幸一朗 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (70143394)
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Keywords | グラフェン / カーボンナノウォール / 化学気相成長 / エッジ状態 / ジグザグ端 / 走査トンネル顕微鏡 / モアレ縞 / 仕事関数 |
Research Abstract |
A.ナノグラフェンの作製と磁性起源の研究 Pt基板上ヘベンゼンを暴露吸着し,高温アニールによって成長したナノグラフェンの走査トンネル顕微鏡(STM)観察を継続し,詳細な解析をおこなった.本来不安定なジグザグ端が70%以上の頻度で現れる実験事実に対し考察を加え,平衡形としてはアームチェア端により囲まれた形状が安定なことが表面エネルギーとウルフの定理によって説明されるが,ベンゼンが縮合重合する過程を考慮すると,ジグザグ端は成長速度が遅れることによって成長形として現れる可能性があることを見出した.表面磁気光学力-効果(SMOKE)による磁気特性の測定で,ナノグラフェン試料の17個のうち8個の試料について室温において磁化曲線にヒステリシスが観測され,なんらかの磁気秩序状態の存在が示唆された.再現性や試料と磁気特性の相関について測定を継続中である. B.カーボンナノウォールの作製と磁性起源の探究 グラフェンのシートが基板に垂直に立つカーボンナノウォール(以下ナノウォール;CNW)の種々の基板上への成長条件を探索した.導電性の高い金属基板上への成長で成長速度が高いことをすでに報告しているが,半導体基板上の成長においてもプラズマ生成時の圧力を増加させると成長速度が上がることを見出した.CNW試料の表面磁気光学力-効果測定をおこなったが,現在までのところ磁気秩序発現の証左は得られていない.これはCNWの上端がアームチェア端で覆われているためと思われる. 以上,グラフェンの端構造に由来する磁気秩序状態研究の端緒を拓けたと考えられる.
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Research Products
(3 results)