2007 Fiscal Year Annual Research Report
スピン偏極電子注入面発光半導体レーザの実現と量子情報処理への応用
Project/Area Number |
19656021
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
河口 仁司 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 教授 (40211180)
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Keywords | 面発光半導体レーザ / スピンエレクトロニクス / スピン偏極電子 / 先端機能デバイス / 量子情報処理 |
Research Abstract |
光ファイバ通信の光源として用いられている半導体レーザに、単に光を出すだけではなく、新しい機能をもたせることができれば、新たな展開に結びつくものと期待できる。特にスピン偏極した電子がひきおこすレーザ発振特性の変化は、新奇な機能デバイスの創成に発展する可能性が大きい。本年度は以下の2項目について検討した。 (1)GaAs/AlGaAs(110)量子井戸中の電子スピン緩和 GaAs/AlGaAs(110)量子井戸はスピン緩和時間が(100)量子井戸に比べ長く、スピン偏極電子をもちいたデバイス用構造として有用である。GaAs(110)基板上のMBE成長は、(100)基板上に比較し困難であるため、本研究の初年度としてまず、MBE成長の最適化を検討した。特に、成長温度、成長速度、およびGa/Asのフラックス比を最適化した。その結果、良好な量子井戸構造が作製でき、スピン緩和時間が長いことが確認された。又、(100)の場合は低温にするほどスピン緩和時間が長くなるが、(110)の場合には、室温でスピン緩和時間が長くなることもわかった。平成20年度に行う予定の機能デバイス研究の準備ができたと言える。 (2)円偏光励起面発光半導体レーザ スピン偏極電子を活性層中に生成すると、遷移確率が発光の偏光に依存するため、レーザ発振偏光も電子のスピン偏極に依存することになる。GaAs(100)基板上に成長した面発光半導レーザ用ウエハを低温(77K)にし、スピン緩和時間を長くし、円偏光励起した。その結果、円偏光に近い偏光を持つレーザ発振が実現できた。今後、右まわり円偏光と左まわり円偏光のスイッチング等の検討を行う。
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