Research Abstract |
我が国の産業基盤構築に向けて,有機フィルムをベースとした薄膜多層回路技術は,次世代の情報通信機器成立の最重要課題である.構造解析に有限要素法が一般的に適用されているが,実装デバイスの全体寸法(μm〜mスケール)と評価すべき部位の寸法(μmスケール以下)の差が著しく,有限要素解析を行うには,要素の大きさはスケールの最も小さな部分に依存するため,領域全体の要素数も膨大な数となり,解析精度を加味すれば適用は困難となる.その解決を図ることが電子部品の高度化に向けて重要である.そこで本研究では,従来まで個々に扱っていた巨視的(マクロ)な機械的性質と微視的(ミクロ)構造の影響を連成させ,シームレスに解析可能とするハイブリッド・マルチスケール解析手法の開発を目的とし,有限要素多段解析手法の定式化ならびにプログラム開発を実施した.前年度に開発した有限要素解析手法に基づき,損傷力学を組み込みマルチスケール損傷進展解析手法へ展開した.具体的には,Macro, Meso, Microのスケールの異なる領域における有限要素モデルを多段階に重ね合わせ,スケール間の連成問題として巨視的な変形状態と微視的な力学的挙動の把握を可能とし,ミクロな損傷状態がマクロな力学的特姓に及ぼす影響を評価した.電子デバイス回路のプリント基盤としても使用されている繊維強化複合材料積層板を対象に,マルチスケール損傷進展解析を実施し,要素分割の影響および損傷判定基準について検討を行った.また,マルチスケール解析手法について,先進複合材料に適用し豊富な実績を有するベルギー・カトリックルーベン大学との技術交流も行い,ミクロ構造の不確定性がマクロな特性に及ぼす影響を調査し,その研究成果について国内外の学会において広く成果発表を実施した.
|