2007 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素ハイドレートを用いた消火に関する基礎研究
Project/Area Number |
19656059
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
植田 利久 Keio University, 理工学部, 教授 (10151797)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 亮 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (70356666)
横森 剛 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (90453539)
|
Keywords | 二酸化炭素 / ハイドレート / 消火 / クラスレート / 燃焼 / プール火炎 / 火災 / 不燃性 |
Research Abstract |
本研究は二酸化炭素ハイドレートの消火剤としての機能・有効性について検証することを目的とし、消火実証試験等の実施から、その消火特性について検討を行った。試験用の二酸化炭素ハイドレートは、設定温度に対応する二酸化炭素ハイドレートの平衡圧以上且つ二酸化炭素の蒸気圧以下の適切な圧力に調整可能な高圧密閉反応容器中において、水と二酸化炭素を反応させることで合成した。消火試験は、直径50〜100mmのシャーレ上にメタノールのプール火炎を形成させ、火炎上方よりハイドレート粉末を落下散布することで実施し、消火時の火炎挙動をビデオカメラにて記録・観察した。結果として、二酸化炭素ハイドレートは十分な消火能力を有し、消火剤として機能することが示された。また、消火時の火炎挙動においては、二酸化炭素ハイドレート散布位置から外部に向かって徐々に火炎が消失していく様子が観察された。この挙動は、二酸化炭素ハイドレートの分解・吸熱による低温領域の拡大、燃焼場への二酸化炭素の拡散による燃料濃度の低下及び酸素供給の遮断が消火に大きく寄与していることを示唆している。さらに、消火に必要な二酸化炭素ハイドレートの最低散布量は火炎の大きさ(プール面積)に比例することが明らかとなった。 尚、本成果の一部は、既に第45回日本燃焼シンポジウムにおいて発表し、第6回ガスハイドレート国際会議において発表することが決定している。さらに現在においては、二酸化炭素ハイドレートの消火能力に対して、既存の消火剤であるドライアイス(固体二酸化炭素)、水、氷等との比較試験を開始している。今後は、ハイドレート消火剤の優位性や欠点を明らかにする等、実用化を念頭に置いた現象の物理的解釈や基礎的特性の把握に努め、ハイドレート消火剤の基盤技術を構築していく予定である。
|
Research Products
(1 results)