Research Abstract |
皮膚の生体組織構造,状態,疾患有無,および,物理化学的な生体反応を明らかにしたいという要求は非常に高い.本研究では,近赤外レーザーを用いた共焦点レーザー顕微鏡に,時間分解光計測の光学系を組み合わせることで,皮膚のような強い散乱性媒体においても,散乱光ノイズを低減し,画像解像度の高い顕微鏡システムを構築できるかどうかについて検討することを目的としている. 昨年度では,システムの主要部分である共焦点レーザー顕微鏡について,簡易システムの設計,製作を行った。手動のステージによる走査ではあるが,その動作,および,有用性が確認した.また,これと同時に,散乱光を低減するための時間分解計測として,カーゲーティング法(時間制限計測法)の可能性について,実際に簡易システムを設計,製作を行い検討した,しかしながら,時間を制限するカー効果を誘発するために,非常の強いパルスレーザが必要で,結晶材料の光物性変化を引き起こせないことが明らかとなった.そこで,本年度は,時間的に反射光を分解するのではなく,非一様な入射光を入射させ,空間的に反射光を分解することで,散乱光ノイズの低減をはかる手法について新たな検討を行った.同時に,新しい光学系を摸擬した数値計算を行うことで,その有用性の検討を開始した. その結果,原理的には,散乱光除去は可能であるが,直達光(散乱を受けずに測定対象から戻ってきた光)が非常に弱く(反射光に散乱光の占める割合が非常に大きく),画質改善の効果が確認できるには至らなかった.
|