2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19656072
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小田 哲治 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (90107532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 亮 東京大学, 高温プラズマ研究センター, 准教授 (90323443)
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Keywords | 静電気放電 / 低電圧 / トンネル電流 / イオン化 / デバイス障害 |
Research Abstract |
1kVを超すような通常の静電気放電と異なり、10V以下の静電気現象は全く違うはずである。すなわち、気体分子のイオン化エネルギーよりも小さい電圧での現象で、普通に考えられている静電気放電は発生しないはずである。ところが、最近、この10V以下の静電気帯電においても現実に、電子素子の破壊が発生している。特に、微細化が要求されてナノスケールになった磁気センサーは、数ボルトの誘導電圧によって流れる電流によってダメージを受けることが報告されている。このような低電圧においては、通常の意味での放電は発生しないはずである。一つには、分子がイオン化しないことから放電にはならないはずである。また、パッシェンの法則からもわかるように、この領域では放電することはないと言われている。従って、実際には、非接触時の放電が発生するというのではなく、接触によってトンネル電流が流れることによるものと想像される。この場合には、大きな電流が瞬時に(立ち上がり時間が極めて早いはず)流れることが予想される。当初、ナノメータギャップでの電圧電流特性の測定を検討したが、建物自身の震動(車の通行にも大きく依存するが)の影響を取り除くことが不可能であった。そのため、高速スイッチであるリードリレーでの実験を行った。また、ギャップにも水銀を塗布したもの(高速)から、周囲のガス環境を可変にした(実験は大気のみしかしていないが)リードリレーを用いて、動作時の電流波形を並列接続のコンデンサー(1pF程度)とリード線のインダクタンスで模擬しながら観測した。コンデンサー両端の電圧が50V以上では安定な電流波形となり、以下では再現性の悪い電流が流れた。後者では実験のたびに接触点が異なることによるものとして説明できた。
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