Research Abstract |
現有設備の改良により,最大電流100kA,パルス幅60ns程度の高速大電流放電を行うことができるパルスパワー電源を製作し,これを用いて,窒素を封入したキャピラリ(長さ150mm,半径1.5mm)放電を行い,再結合励起による水素様窒素の軟X線レーザ発振(波長13.4nm)を世界で初めて実現することを最終目的としている。また,比較的長いキャピラリを用いた放電の場合に,X線ダイオード(XRD)や複スリットによる干渉計測で観測された,再結合励起によるものと考えられるBe様Ar軟X線レーザ(42.6nm)の発振について,現有設備である斜入射真空紫外分光器(McPherson Model 248/310G,波長領域1〜300nm,分解能0.036nm)を用いて分光計測を行い,波長の確認を行う。 本年度は,最大電流100kA,パルス幅60ns程度の高速大電流を得るために,現有設備であるパルスパワー電源の昇圧トランスおよび出力部の構造を改良し,回路インダクタンスを低減することに注力した。まず,昇圧トランスの改造を行ったが,高電圧部の最大電界がかなり大きく,予定の電圧の約1/2である450kVで絶縁破壊を起こした。このため,再設計を行い,電界緩和を計った。現在,トランスの再製作は完了している。 また,スイッチ部およびキャピラリを収納する放電部について,耐電圧を考慮しつつ,空間をできるだけ狭くすることにより,浮遊インダクタンスの低減を行った。現在,最終組み立ての段階にあるが,インダクタンスはこれまでの値の1/3程度まで低減できている。したがって,最大電流100kA程度が得られる見通しが得られた。
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