2007 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ分光によるポリマーナノコンポジットの優れた誘電特性出現機構の解明
Project/Area Number |
19656083
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大木 義路 Waseda University, 理工学術院, 教授 (70103611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 直志 早稲田大学, 理工学術院, 専任講師 (30329122)
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Keywords | 誘電体 / 有機物 / ポリマーナノコンポジット / テラヘルツ時間領域分光 / 複素誘電率 / 誘電損率 / 誘電・絶縁特性 |
Research Abstract |
ポールマーナノコンポジットの優れた誘電・絶縁特性はポリマーマトリクスとナノフィラーとの界面にあると考えられている。そこで、我々は分子の振動、あるいは分子間相互作用の解析に用いられているテラヘルツ領域に注目し、ポリマーナノコンポジットの良好な物性の発現機構を解明する-助として、テラヘルツ時間領域分光(THz-TD5)測定を行った。試料として、ポリアミドナノコンポジットを用い、次の結果を得た。 [1]約2.7-3.1THzにみられる誘電損率のピークは、未延伸・延伸に関わりなく、ナノフィラー充填によって低周波側にシフトする。一方、マイクロフィラー充填ではピークはシフトしない。この理由は、ナノコンポジットにおいてはフィラーの比表面積が大きいため、フィラーとポリマーの相互作用が強く現れ、フィラーとポリマーのイオン結合が分子運動を抑制するためと考えられる。 [2]約1.9THzにみられる誘電損率ピークの原因は、ポリアミドのアルファ型結晶と考えられる。そのピーク強度が、延伸後のナノコンポジットでは、ナノフィラー充填量が少ないほど明確に現れたことより、ナノフィラー充填は、延伸によるアルファ型結晶の形成を抑制する効果を持つと思われる。 [3]約1.9THzの誘電損率ピークが、ナノフィラー充填によりピークシフトを示さないことより、ナノフィラーと相互作用する界面領域のポリアミドの結晶状態はアルファ型結晶ではないことが示唆される。
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Research Products
(4 results)