2007 Fiscal Year Annual Research Report
非線形光学波長変換を利用したテラヘルツ波検出技術の開発
Project/Area Number |
19656102
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
南出 泰亜 The Institute of Physical and Chemical Research, テラヘルツ光源研究チーム, 副チームリーダー (10322687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
敦 蕊香 独立行政法人理化学研究所, テラヘルツ光源研究チーム, 研究員 (30425623)
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Keywords | テラヘルツ波検出 / 非線形光学効果 / 室温動作 / 高感度検出 / 高速応答 / ニオブ酸リチウム結晶 / 光検出器 / 位相整合 |
Research Abstract |
高感度・高速応答を有するテラヘルツ波(THz波)検出は未だ研究段階にあり、有効なTHz波検出技術の開発が期待されている。このような背景のもと、本研究課題では、非線形光学効果を利用した実用的なTHz波検出を提案する。本年度では、非線形結晶を用いてTHz波検出を実現するための光学的設計を行い、検証実験を行った。非線形結晶には高効率なマグネシウム添加ニオブ酸リチウム(Mgo:LiNbO_3)単結晶を用いた。THz波光源で利用した励起光(1064nm)を再度利用し、別途結晶にTHz波を垂直に入射させる光学配置での位相整合条件を考案した。励起光は、縦シングルモードのQスイッチNd:YAGレーザーを用い、THz波光源でTHz波発生(〜160μm)に利用したあと、強度を下げるように調整して検出系で用いた。MgO:LiNbO_3結晶は、高効率に波長変換を実現できる結晶である半面、THz波の吸収も大きい。このため、結晶を台形型にして表面に対し垂直にTHz波を入射させ、励起光は屈折率の差異を利用して結晶表面で全反射させる光学配置とした。THz波は、結晶内に入った直後に励起光と相互作用を起こし、シグナル光(-1071nm)が発生する。このシグナル光は、THz波が入力したときのみ発生するように励起光強度を調節しており、THz波入力有無を示す。実験では、十分なシグナル光を得るために、台形型結晶の直後に長さ130mmの結晶を2つカスケードに配置しシグナル光を増幅した。シグナル光は、励起光とフィルターを用いて分離し、高感度なInGaAs光検出器で検出し、オシロスコープで波形をモニターした。結果として、約4ns(ナノ秒)のTHz波パルスをリアルタイムに検出した。また、比較として極低温(4.2K)にしたシリコンボロメータ検出器を用いたところ、開発した検出方法は、シリコンボロメータを用いた場合より1桁小さなTHz波強度まで高感度に検出できることがわかった。このように、今年度成果としては、室温動作で、高感度・ナノ秒応答速度を有するTHz波検出に成功した。
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