2008 Fiscal Year Annual Research Report
双対性がもたらす多視点モデル化:数学原理からシステム設計へ
Project/Area Number |
19656103
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
室田 一雄 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 教授 (50134466)
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Keywords | システム理論 / 双対性 / モデル化 / 分野横断性 |
Research Abstract |
前年度に得られた双対性の横断的な理解を受け,本年度は次の4つに大別される成果をあげた. (1)「変位と力」「ひずみと応力」という共役関係は,応用力学における双対性概念の代表例である.本研究では,この概念を自己双対錐と呼ばれる集合の上での共役関係に拡張することにより,「ギャップと反力」「膜に生じるしわと許容応力」などのより複雑な関係が双対性を通じて統一的にモデル化できることを明らかにした.このモデル化に基づき,接触問題の解の列挙手法や平面膜の釣合解析手法などの新たな数値手法を提案した. (2)工学モデルは,物理パラメータなどの「数」と対称性などの「本質的な構造」という双対性概念を含むことが普通である.本研究では,「数値的なデータ」のみが与えられた状況において,行列のブロック対角化という「対称性に由来する本質的な構造」を抽出するための理論および数値手法を開発した.さらに,提案したブロック対角化手法を用いることで,半正定値計画問題などの「自己双対錐上の最適化問題」がより効率よく解けることを明らかにした. (3)(2)で取り上げた対称性について,さらに,構造系の不安定現象という別の観点から考察した.つまり,「対称性の破れ」という抽象的な変化と「構造物の座屈」という工学的に重要な現象の2つを,群論的分岐理論という統一的な枠組を用いて研究し,その成果を2編の論文として国際誌に発表した. (4)新たな設計手法への展開として,構造物のロバスト最適設計法に対して,半正定値計画法に基づく手法を提案した.特に,トラスと呼ばれる構造物の位相を最適化する問題が,連続変数と整数変数の双方を含む半正定値計画問題として厳密に定式化できることを示し,さらに主双対内点法を繰り返し用いることで大域的な最適解を得る手法を提案した.
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Research Products
(15 results)