Research Abstract |
本年度は,まず携帯型小型水素発生装置作製のための基礎実験を行った。自作した真空容器内で,活性アルミニウム微粒子と純水とを反応させ,構築した自動測定システムにより水素生成特性の測定を行った。水温,水質量,反応器外部温度の条件を種々に設定し,詳細に反応特性について検討した。測定の結果,反応速度は温度依存性があることが確認できたが,活性化アルミ微粒子の種類が異なると,その発生特性は定量的に一致しないことが確認できた。測定結果に基づいて,制御用数学モデルの構築を行った。具体的は,線形のARMAモデルを用い,反応温度を入力,水素発生量を出力に選んだ。反応温度を不規則に変動させて反応速度を変化させながら,適応アルゴリズムを用いてシステム同定を行った。その結果,数学モデルの出力と実際の出力をほぼ誤差なく一致させることができた。すなわち,その反応の詳細がよくわからない水素生成反応を簡単な線形ARMAモデルで記述可能なことがわかり,発生量制御のために,このモデルを利用できることが確認できた。また,実験室で,実際に発生した水素をPDE装置に送り込み,デトネーション波を発生させることができた。その後,小型水素発生装置を設計、試作し,発生実験を試みた。反応容器には反応抑制用に温度制御機構が設けられていたが,水素発生反応が暴走状態に陥り,反応容器の膨張をまねいてしまった。原因として,反応の詳細が不明なことに起因して,実際の発生熱量が計算値よりも大きかったことと,それに伴う温度制御システムの容量不足が挙げられる。なお,この結果は現 在製作中の発生容器にいかされている。
|