2007 Fiscal Year Annual Research Report
ポリアミド低圧逆浸透過膜のフッ素選択透過性を応用した新しい排水処理システムの開発
Project/Area Number |
19656132
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
滝沢 智 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (10206914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小熊 久美子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (00361527)
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Keywords | フッ素 / 低圧逆浸透膜 / フッ化カルシウム / 膜ファウリング / 半導体製造排水 |
Research Abstract |
本研究は、低圧逆浸透膜を用いたフッ素の除去方法について検討するものであるが、今年度はフッ素による膜汚染について検討した。逆浸透膜の汚染を引き起こす物質としては、シリカ、炭酸カルシウムなどのほかに、本研究では膜供給水中にフッ素が高濃度で存在するために、フッ化カルシウムが膜汚染を引き起こす可能性がある。一般に、フッ化カルシウムCaF2は逆浸透膜の表面に強固に付着し、膜ファウリングの原因となる。通常の逆浸透膜ろ過プロセスでは、フッ素は循環水側に保持されるためろ過とともに循環水中で濃縮し、これと同時にカルシウムも循環水側で濃縮されるために、ろ過の進行とともにフッ化カルシウムCaF2が過飽和となり、膜表面に析出してファウリングを起こす。そこで本研究では、膜供給水中にシリカやフッ素、カルシウムを含む場合の幕ファウリングについて、実験とモデルによる解析を行った。その結果、膜供給水の水質条件により、フッ素の除去性能にも違いが生じることがわかった。異なったファウリング現象が起こり、低圧逆浸透膜の表面に形成されるファウリング層(ゲル層)の違いにより、水やフッ素を含む各種イオンの膜透過性に違いが生じることがわかった。そのため、ファウリングの進行とともに、フッ素の除去率にも変化が生じる。この現象をさらに細かく見るため、膜ろ過実験の結果をモデル解析した。モデルは、膜透過モデルと膜表面の濃度分極モデルとを組み合わせたものであり、モデル解析の結果、膜表面にできるゲル層には密度の高いゲルと、低いゲルがあり、前者はゲル層内部での拡散が物質移動を支配しているが、後者は移流に支配されていることが、フッソ除去率の違いを生み出していることを解明した。
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