2007 Fiscal Year Annual Research Report
地震時の経済活動継続性から見た都市型収益用建築物の損傷限界
Project/Area Number |
19656139
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
衣笠 秀行 Tokyo University of Science, 理工学部, 教授 (00224999)
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Keywords | 収益用建築物 / 耐震性 / 経済性 / 損傷限界 / 不可避損傷 / 修復費用 / 収益性分析 |
Research Abstract |
収益用建築物を研究対象として、地震損傷の経済的深刻度を適切に評価する経済損傷指標の提案を行った。この指標の特徴として、(1)耐震性・収益性の異なる構造物に対して適用可能なものである、(2)この指標によって、「損傷に対する強さ」、「損傷の受けやすさ」などの経済的耐震性能の分析が可能である、(3)DCF法や収益性分析など経済学で一般に使用される指標や尺度との連続性を有するものである、ことが挙げられる。提案指標に基づき、次の知見を得た。 (1)経済的リスクが小さく、かつ、収益の大きなものほど、限界修復費用Bmaxは大きくなる。(2)ローリスク・ローリターンの都市型の収益用建築物のBmaxはハイリスク・ハイリターンの郊外型のものより小さくなる傾向にある。(3)不可避修復費用Bminは耐震投資が大きな効果(修復費用の低減)を生むものほど小さくなる傾向にある。(4)修復作業にあたっての制約条件の大きい都市型の建築物ほど、不可避修復費用は大きくなる傾向にある。(5)経済的観点から見た大都市に存在する収益用建築物は、地震による損失が生じた場合、採算性が悪化し機能停止に陥りやすい「損傷に弱い構造物」であり、かつ、耐震投資が効率的でなく、耐震化を進めにくい「損傷を受けやすい構造物」であると言える。
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