2007 Fiscal Year Annual Research Report
総合的地域間格差(CRDI)の測定と評価及び是正のための方策に関する研究
Project/Area Number |
19656146
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 隆 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 教授 (80143824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 正史 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (70418656)
片山 健介 東京大学, 工学系研究科, 助教 (00376659)
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Keywords | 交通工学・国土計画 / 国土開発 / 国土整備 / 所得格差 / 地域間格差 / ジニ係数 / タイル尺度 |
Research Abstract |
(1)格差に関する各種文献を元に、階層間格差と地域間格差の2つの論点を抽出し、政府統計を用いて両者の時系列変化の分析を行った。具体的には、政府統計をもとに都道府県別の平均所得と産業別・職業別の平均所得、国勢調査の産業・職業別従業者数・就業者数などの指標を用いて、ジニ係数・ローレンツ曲線の時系列変化と、タイル尺度による地域・産業・職業別の寄与度分析を行い、階層間格差と地域間格差の時系列変化を明らかにした。その結果、中長期的には若年齢層人口の地方都市から大都市圏への移動を通じて地域間の所得格差自体は減少傾向にあったが、ここ数年再び格差の拡大傾向が見られていることを示した。また近年の地域間格差の特徴として、東京都市圏(のうち特に東京都)の所得が際立って増大している点にあり、東京都市圏を除く全国で見ると格差の拡大傾向は小さいことを明らかにした。 (2)上記(1)の分析結果を受けて、特に東京都市圏1都3県を対象としての産業・職業別就業者数の変化と、市区町村別の平均所得の時系列変化の分析を行った。それにより、他道府県と比して平均所得が高くなっている東京都の所得では、都心3区、なかでも港区の所得が牽引して平均所得を押し上げており、特に近年ではその伸びが傑出していることが明らかになった。また職業・産業別人口の分布の変遷の結果、他の職業と比較して平均所得が高い管理的職業従事者が港区に多く居住していることを示した。ただし全体的にみると管理的職業従事者と他の職業との所得格差の拡大傾向は見られていない。これらのことから、一部の都心居住者の所得が、都市圏・全国の地域間格差・階層間格差指標に影響を与えるほど際立った増加を示しているという仮設を提示している。 (3)翌年度以降、格差の背景やそれによる地域社会への影響分析を行うため、分析に用いる各種関連社会経済統計データの収集を行った。
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