2008 Fiscal Year Annual Research Report
総合的地域間格差(CRDI)の測定と評価及び是正のための方策に関する研究
Project/Area Number |
19656146
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 隆 The University of Tokyo, 大学院工学系研究科, 教授 (80143824)
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Keywords | 都市計画・建築計画 / 国土整備 / 都市整備 / 地域間格差 |
Research Abstract |
1.前年度における地域間格差に関する世論調査や記事による格差意識に関する分析等を踏まえて、総合的地域間格差指標(CRDI)を提案した。具体的には、都道府県、都市圏、市区町村の3種類の空間単位でCRDIを求めた。指標の合計方法としては、都道府県、市区町村は各分野の指標を標準化しその偏差値の単純平均を用い、都市圏は主成分分析の得点を用いて総合指標を算出した。結果は以下のようであった。(1)都道府県単位:経済財政、住環境、インフラ、教育文化、福祉医療指数を用いた。その結果、東京都、愛知県、富山県、大阪府、滋賀県が上位となった。東京都と愛知県、大阪府は経済財政指数が最も高い値を示したのに対し、富山県、滋賀県は所得は上位ではないが住環境指数が非常に高い値を示した。(2)都市圏単位:都市圏の設定方法として金本らの都市雇用圏(UEA)を用い、2005年度データを合計し、計算を行った。主成分分析での第4主成分得点まで合計したものをCRDIとみなした。上位には、新潟都市圏、郡山都市圏、八戸都市圏、岩見沢都市圏があった。(3)市区町村単位:項目をより細分化し、経済、財政、住環境、福祉医療、行政サービスの項目で計算を行った。その結果、上位5位まではすべてが東京23区であった。5位から10位は芦屋市、武蔵野市、印旛村、鎌倉市、葉山町であり、印旛村の場合、福祉・医療の指数が非常に高いためである。また、市区町村の計算を行う際、各指標間の標準偏差を算出したが、インフラの標準偏差すなわち地域間格差は、所得や財政に比べ非常に少ないことが分かった。従来の地域間格差是正政策は、インフラ投資が多く行われてきたことのひとつの結果になると考えられる。 2.2年間の研究成果を総括し、大都市圏の中心部に高額所得者が集中し、その他の地域との所得格差が拡大していること、CRDIの作成方法と結果、都市圏間公平性を考慮した持続的地域政策の必要性等の知見を得た。
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