2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ結晶の空間的な外場制御によるマルチ機能ガラス材料の創製
Project/Area Number |
19656163
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤原 巧 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (10278393)
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Keywords | 結晶化ガラス / 光結晶化 / 光非線形性 / 電気光学効果 / 光ファイバ型素子 |
Research Abstract |
平成20年度の目標を「外場による結晶化挙動の制御とファイバ型デバイスの創製」として実施し以下の成果を得た。 1. 光吸収剤(遷移金属元素 : 約1モル%)を含む特殊なクラッド構造を有する光ファイバに対して、レーザー光を用いた空間選択的な手法により、ファイバの一部のみを結晶化させることに成功した。これは、結晶固有の電気光学効果に起因する外部電圧による屈折率変化をガラス・ファイバ内に生じさせ、光ファイバのコアを伝搬する光波の位相や強度などの可変制御が可能であることを示しており、ガラスの腑形性と結晶のアクティブな光波制御性を併せ持つ、マルチ機能光ファイバ型素子開発につながる世界初の成果である。この結果は、著名な欧州光通信会議(ECOC)におけるポストデッドライン論文の一つとして採択され、国際的にも高く評価された。今後、伝搬損失の低減や動作電圧の改善など、実用化に向けてさらなる開発が期待される。 2. 局所的な光結晶化の手法について、簡便性や量産性の観点から高価なレーザーに代わる光源として赤外ランプを選択し、その光結晶化の可能性を確認した。レーザーを用いた光結晶化においては、主に光→熱変換により局所結晶化が生じていると考えられる。従って、本技術の広い普及や利便性を考慮すると、光源として必ずしもレーザーが最適とは限らない。今回、市販されている安価な赤外ランプを用いて、光吸収剤を含有するガラスを照射したところ、ガラス表面近傍における結晶化を確認することが出来た。ガラス試料は透明性を保持したまま結晶化を生じさせることが可能であり、レーザー光源の場合に比べて極めて簡便な局所光結晶化が実現できることを示した。
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