2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19656166
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
近藤 建一 Tokyo Institute of Technology, 応用セラミックス研究所, 教授 (50111670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿藤 敏行 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 准教授 (40241567)
川合 伸明 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 研究員 (60431988)
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Keywords | セラミックス / ナノ材料 / 宇宙インフラ / 環境材料 / 壊れ方機能 |
Research Abstract |
本研究は、新しい材料開発概念である壊れ方機能を有する材料の実証例として「ナノ破壊機能」を内包するムライトセラミックスについて、その機構の本質を探り、さらには類似の現象を引き起こすセラミックスの一般則を探索することを目標としている。平成19年度はムライトのナノ破壊機構を原子レベル・ナノレベルから明らかとすることを目的として、組成および結晶構造がムライトに類似した鉱物であるシリマナイトについて、衝撃回収実験を行い、回収試料のX線回折および透過型電子顕微鏡(TEM)により、相変化とそれに伴う微細組織の変化を調べた。48GPaから回収した試料では,粉末X線回折パターンの半値幅が大幅に増大するとともに、非晶質によるハローが現れ、シリマナイトの結晶相とアモルファス相の混合相となった。結晶相とアモルファス相の混在した部分をTEM観察すると,層状欠陥の構造を残しながら,アモルファス化が進行していることが明らかとなった。このような二次元(平面)的な層状欠陥は、石英や長石類の衝撃誘起非晶質化で見られる組織と類似しており,鉱物の典型的な衝撃挙動と捉えることができる。一方,ムライトで観察されたナノ微粒子は,これとは対照的に三次元的に乱れた粒界を形成している。ムライトとシリマナイトで見られた微細構造の違いは,ムライト結晶構造中に大量に存在する酸素欠損の影響によるものと推察している。すなわち、酸素欠損位置がアモルファス相転移の起点となることで,ネットワーク状にナノ破壊が進行する機構である。このことは酸素欠損量を変化させることにより、ナノ破壊機能を制御できる可能性を示差しており、不定比性を有するムライトセラミックスでは、組成によるナノ破壊機能の制御が期待できる。
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