2007 Fiscal Year Annual Research Report
半導体基板上非平衡系自己組織化によるエピタキシャル酸化物薄膜の創成
Project/Area Number |
19656170
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Research Institution | Kanagawa Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
金子 智 Kanagawa Industrial Technology Center, 電子技術部, 主任研究員 (40426359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 賢輔 神奈川県産業技術センター, 電子技術部, 主任研究員 (70426360)
舟窪 浩 東京工業大学, 総合理工学研究科, 准教授 (90219080)
吉本 護 東京工業大学, 総合理工学研究科, 教授 (20174998)
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Keywords | シリコン基板 / 酸化物成長 / エピタキシャル / 格子不整合 / 極点座標 |
Research Abstract |
シリコン(Si)基板上酸化物作製では、Si表面の非結晶な自然酸化膜が主因となり、積層される酸化物のエピタキシャル成長を阻害している。通常では自然酸化膜を化学的に除去した後に、すばやく超高真空中に導入し、高温度クリーニング等を行っている。この超高真空・高温度の必要性は、酸化物製膜の再現性を著しく損なっている。本研究では、酸化マグネシウム(MgO)の製膜においてシリコン基板上自然酸化膜を除去することなく、無酸素状態と酸素雰囲気の2段階製膜を行うことで結晶性の優れたMgO膜成長が確認できた。イットリア安定化ジルコニア(YSZ)についても、成長速度の最適化によりSi(111)基板上にシングルドメインであるYSZ薄膜の成長を可能にした。MgOとYSZ薄膜はSi(001)基板上でcubic on cubicで成長(cubic成長)した。成長速度の最適化により、通常はtypeAとtypeBというダブルドメイン成長が報告されているYSZでは、typeBのシングルドメイン・エピタキシャル成長を可能にした。 シリコン基板上酸化膜成長などの異種基板上へのヘトロエピを行う際には、化学的安定性を考慮するが格子定数の整合性の評価も重要である。この格子整合性評価として、極座標を用いた手法を提案した。複数の格子ユニットから成る様々な組み合わせの格子整合性を考えることで基板と薄膜の成長関係を説明できる(coincidence site lattice(CSL))。本研究では、このCSLを極座標を用いることを提案した。様々な組み合わせを複数ユニットの大きさとその角度に変換し極座標系で表すことで、全体が俯瞰(polar-CSL図)でき、MgOやビスマス系超伝導酸化物の成長と基板の関係を説明できる。特にMgO膜はSik(001)基板との格子の違いが大きいにも関わらずcubic成長しているが、polar-CSL図により俯瞰することで説明できる。
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