2008 Fiscal Year Annual Research Report
新しい酸化物系ナノコンポジット膜の創製-次世代型硬質保護膜の開発を目指して-
Project/Area Number |
19656190
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
野瀬 正照 University of Toyama, 芸術文化学部, 教授 (70269570)
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Keywords | Al-O-N膜 / 硬質膜 / ナノコンポジット膜 / TEM / r.f.-スパッタリング |
Research Abstract |
1.Al-O-N/C系ナノコンポジット膜の作製と評価 Al-O-NにCを複合化したナノコンポジット膜の作製を試みたが、AlON膜が成膜可能なガス圧条件ではC側の電源電圧が600Vを超えてしまい、電源の保護回路が働き放電ができなかった。各種の対策をとってみたが、結局、当初計画のAlON/a-C複合膜は作製ができなかった。 2.Al-O-N膜の微細構造制御と特性の向上 (1)膜の分析:Al_2O_3ターゲットを用いて,基板温度を〜200℃,Arガス流量を10sccm, N_2ガス流量を30sccmの条件下で作製した薄膜をEPMAで分析した結果, Al: 42.9at.%, O_2: 25.Oat.%, N_2: 32.1at.%であり,AlON膜が形成されることがわかった。 (2)ガス流量の影響:Arガス流量を10sccmに固定し, N_2ガス流量を0〜40sccm,基板温度をRT〜300℃に変化させた条件下で作製した薄膜は、基板温度及びN_2ガス流量が増加するにつれて、アモルファスからナノ結晶からなる繊維状組織に変化することがわかった。 (3)薄膜の結晶構造:菱面体もしくは六方晶に近い構造のAlON膜であることを明らかにした。 (4)基板バイアス影響:適切な基板バイアスを印加した試料の機械的性質を調べた結果、40GPaの超高硬度が得られた。XRD回折ピークから,AlNに近い結晶構造に変化するとともに、結晶子サイズは若干大きくなるものの、依然として数nmの微結晶からなる膜であることがわかった。以上のことから、当初の目標に沿った「新しい酸化物系ナノコンポジット膜」が得られたものと考えられる。
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Research Products
(4 results)