2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ結晶粒子製造のための遠心晶析法の開発とその機構解明
Project/Area Number |
19656202
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
入谷 英司 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (60144119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 康人 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30303663)
片桐 誠之 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00345919)
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Keywords | 晶析 / 遠心力 / 遠心沈降 / ナノ結晶 / 固液分離 / 貧溶媒晶析 / アミノ酸 |
Research Abstract |
晶析操作は、機能性素材の開発にも繋がる有力な分離精製手法として、医薬品、食品をはじめ、多くの分野で注目されている。一連の晶析プロセスでは、晶析操作の次行程として固液分離操作が必要とされる場合が多く、しばしばこの固液分離の性能がプロセス全体の性能を決める律速因子となる。したがって、晶析操作と固液分離操作を統合化することが可能となれば、プロセスの効率化は格段に進む。そこで、晶析操作の次行程として固液分離操作を行うのではなく、析出させた結晶を遠心力によって直ちに固液分離する遠心晶析法を新たに提案した。この手法は、生成した微小な結晶核が遠心力により速やかに遠心沈降して成長が抑制されるため、従来法より微細な結晶が得られるという特徴をもち、ナノ結晶粒子の製造プロセスへの適用が期待できる。本研究では、アミノ酸の一種であるグリシンの貧溶媒晶析を対象として遠心晶析を行い、本法の有効性を検証した。精密濾過膜が組み込まれた遠心フィルターを用い、膜の上流側にグリシンの飽和水溶液、下流側にグリシンに対して貧溶媒であるエタノールを注入し、遠心機にセットして所定の遠心角速度で遠心力を作用させた。グリシン水溶液は膜を透過して貧溶媒の上面に滴下され、貧溶媒晶析によってグリシン結晶が析出し、同時に、遠心力によってセル底部へと移動して結晶粒子からなる沈積層を形成した。このように、本法では晶析と固液分離の各操作が1つの遠心セル内で並行して行えることが確認された。結晶粒子径を測定した結果、遠心晶析では従来の晶析法より微細な結晶を生成することが明らかとなった。グリシン水溶液が滴下される貧溶媒液面付近で結晶核は析出し、さらに成長が促進されていくが、遠心力を作用させると、生成した結晶核が遠心沈降して結晶成長の場となる貧溶媒液面から速やかに移動するため、結晶の成長が抑制されたものと考えられる。また、遠心晶析では従来法に比べ結晶サイズが均一になることもわかった。
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