2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規部分酸化反応システムによる木質系バイオマスの樹脂原料芳香族への転換
Project/Area Number |
19656207
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
増田 隆夫 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 教授 (20165715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多湖 輝興 北海道大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20304743)
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Keywords | 木質バイオマス / リグニン / ペーパースラッジ / 部分酸化分解 / 酸化鉄触媒 / 水蒸気 / ジルコニア / フェノール |
Research Abstract |
本研究では、ZrO_2-FeOx触媒を用い、木質バイオマスの一種であるリグニンの分解と高付加価値樹脂原料芳香族への転換を目的としている。 ペーパースラッジ熱分解タールの軽質化を実施した。熱分解タールにはスチレンなどの有用芳香物以外に、多量の不明成分が含まれる。水蒸気雰囲気下、350℃〜450℃でZrO_2-FeOx触媒を用い、熱分解タールを反応させたところ、これら不明成分を選択的に分解することに成功した。さらに、フェノール類とケトン類が新たに生成した。熱分解タールに含まれる不明成分が分解し、フェノールとケトンが生成したと考えられる。 本触媒では、FeOxの格子酸素が酸化分解に寄与し、水分子からZrO_2を介して酸素原子がFeOxの格子欠陥に供与されることにより反応が繰り返される。そこで、反応条件(触媒量、反応温度)が反応活性と触媒の安定性におよぼす影響を検討した。熱分解タールに含まれる不明成分を有効に分解するためには、350℃以上の反応温度が必要であった。しかし、450℃以上では生成した有用成分(フェノール、スチレンなど)の完全酸化分解と、FeOx触媒の劣化(ヘマタイト(α-Fe_2O_3)からマグネタイト(Fe_3O_4)への結晶性の変化)が進行した。反応条件としては、触媒/原料=1(重量比)、反応温度350℃〜400℃が適している。 上記検討を基に、実バイオマスとしてパーム油の製造時に多量に排出されるパーム房を採り上げ、その熱分解タールの分解軽質化を実施した。触媒上への炭素付着が観察されたが、フェノール類、酢酸、アセトンの生成が確認された。これらは、リグニン中のアシル結合の分解により生成したと考えられる。
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