2009 Fiscal Year Annual Research Report
ワイヤー型誘電泳動フィルターによる細胞分離装置の開発
Project/Area Number |
19656217
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
箱田 優 Gunma University, 大学院・工学研究科, 准教授 (00302456)
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Keywords | 化学工学 / 生物・生体工学 / マイクロ・ナノデバイス / マイクロマシン / 細胞・組織 |
Research Abstract |
本研究の最終年度であるため、研究実施計画に基づき実用化のための検討をおこなった。 (1)MDCK細胞と赤血球の分離:細胞を分離するときには多くの場合、他の細胞が混在する。その混在するもので厄介なのが赤血球であり、足場依存性細胞のMDCK細胞と赤血球の分離について検討した。それぞれ5.0×10^4cells/mlの濃度で調整し、誘電泳動フィルターで分離した。さらに、それぞれの濃度を変化させそ濃度の影響を検討した。その結果、MDCK細胞は誘電泳動力を受け膜により保持され、赤血球は誘電泳動力を受けずに膜を透過した。この結果は、予想通りであったが、赤血球の濃度を高くすると保持率は増大したが、急激に回収率が減少し、分離器内に沈降したことが明らかとなった。詳細に検討した結果、高濃度になると赤血球の凝集が起こり沈降したと考えられる。 (2)誘電泳動フィルターの改良:ワイヤー型誘電泳動フィルターはワイヤー電極間距離の差が分離性能に大きく影響するため、電極間を一定に保つため織物状電極フィルターを用いて有効性を検討した。細胞の保持率はワイヤー型の場合と同様であったが、回収率が低下した。さらに、保持液側の流路のデッドスペースを無くす改良を行った結果、保持率は維持され回収率の改善が見られた。 (3)細胞活性と誘電特性の相関関係の検討:ラットの間葉系幹細胞(RMSC)を用いて分離効率に影響を及ぼす誘電特性と幹細胞の分化活性の関係について検討した。RMSCの骨分化活性評価としてアルカリフォスファターゼ活性(ALP活性)を測定し、継体回数の異なるRMSCのALP活性と誘電特性の関係を検討した。その結果、各種細胞の増殖活性と誘電特性の関係と同様に、RMSCの場合は骨分化活性と誘電特性の関係が得られた。この結果より、RMSCに関しては誘電泳動フィルターを用いることにより骨分化活性の異なるRMSCの分離が可能であることが示唆された。
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