2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19656223
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神谷 典穂 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 准教授 (50302766)
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Keywords | ナノ粒子 / 両親媒性タンパク質 / 生物分離素子 / スマートナノマテリアル / カゼイン / 機能化 |
Research Abstract |
生体内には、単分子では明確な高次構造を取らないが、それらが自己組織化することで新たな機能を発現するような仕掛けが備わったタンパク質が存在する。本研究では、この仕掛けを積極的に活用することで新規なタンパク質性ナノ構造を構築することを目標としている。具体的には、牛乳に大量に含まれるカゼインをモデルタンパク質として、典型的なタンパク質架橋化試薬を用いてタンパク質性ナノ粒子が得られ、さらに得られたナノ粒子が温度に応答して凝集するという基礎知見について、まず、カゼインミセルの架橋化によるナノ粒子調製プロセスの確立を行い、その後、得られるミセル型カゼインナノ粒子の基礎特性評価と表面修飾について検討した。調製プロセスの最適化においては、架橋剤を水溶性カルボジイミドに固定し、架橋剤濃度、タンパク質濃度、反応温度、反応時間が、ミセル型カゼインナノ粒子の粒径分布、温度応答性、疎水性、表面電荷に与える影響について検討した。その結果、架橋剤濃度250mM、架橋温度4℃、反応時間24時間で、25℃付近に下限臨界溶液温度を示す熱応答性タンパク質ナノ粒子が定量的に得られることを明らかにした。動的光散乱による粒径分布測定では、粒径が均一に揃った粒子(平均粒径20nm程度、多分散度0.14)が得られていることが明らかとなり、また、原子間力顕微鏡による観察結果もこれを支持した。表面修飾については、Cy3によるラベル化が可能なことから、ナノ粒子表面にラベル化可能なリシン残基が残っていることが明らかとなった。そこで、本ナノ粒子を機能化するという観点から、ビオチンラベル化ナノ粒子の調製を試みた結果、基礎検討レベルではあるが、ビオチンによる修飾が可能なことが示された。
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