2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19656223
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神谷 典穂 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 准教授 (50302766)
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Keywords | ナノ粒子 / 両親媒性タンパク質 / 生物分離素子 / スマートナノマテリアル / カゼイン / ソフトマター |
Research Abstract |
生体内には、単分子では明確な高次構造を取らないが、それらが自己組織化することで新たな機能を発現するような仕掛けが備わったタンパク質が存在する。本研究では、この仕掛けを積極的に活用することで新規なタンパク質性ナノ構造を構築することを目標とした。具体的には、牛乳の主要タンパク質成分であるβカゼインをモデルタンパク質として、化学的あるいは酵素的なタンパク質架橋化を施すことにより、粒径が20〜50ナノメートル程度のタンパク質性ナノ粒子を得るための基礎条件を確立した。また、化学的処理により調製したナノ粒子が下限臨界温度を有する凝集挙動(熱応答性)を示すという基礎知見について、架橋剤濃度、タンパク質濃度、反応温度、反応時間が、ミセル型カゼインナノ粒子の粒径分布、温度応答性、疎水性、表面電荷に与える影響について検討した。特に、低温で、200mM以上の架橋剤が存在する条件下で調製したナノ粒子が、明確な温度応答性を示すことを明らかにした。最適条件下で得られたナノ粒子について、円二色性分光測定、動的光散乱、原子間力顕微鏡による評価を行った結果、本ナノ粒子は明確な二次構造を有しておらず、おおよそ球形のナノ構造体を与えることが分かった。一方、本ナノ粒子の機能化について、酵素処理により得られたナノ粒子に関して、プロテアーゼに対してある程度の抵抗性を示すことから、生分解性のナノ粒子としての利用の可能性を見出した。また、化学処理により得られたナノ粒子に関して、更なる化学処理によるリガンド提示ナノ粒子の調製について検討し、ビオチン修飾ナノ粒子によるアビジン分子の選択的沈降が可能なことが確認され、生物分離素子としての利用に向けた機能化に成功した。
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