2007 Fiscal Year Annual Research Report
極低レイノルズ数での剥離渦構造の解明と火星飛行探査システムの揚力面設計への応用
Project/Area Number |
19656227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
米本 浩一 Kyushu Institute of Technology, 工学部, 教授 (80404101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越智 廣志 西日本工業大学, 工学部, 教授 (10069833)
高藤 圭一郎 西日本工業大学, 工学部, 准教授 (10461485)
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Keywords | 低レイノルズ数流れ / 三次元翼空力特性 / 層流剥離 / クッタの条件 / NS方程式 / 直接シミュレーション / 火星飛行探査システム |
Research Abstract |
西日本工業大学の小型変圧風洞、宇宙航空研究開発機構の高レイノルズ(Re)数遷音速風洞を用いて、矩形翼3種、デルタ翼4種について10^4<Re<10^7という極めて広い範囲での風洞試験を行い、平面形、翼型の違いによる空力特性のRe数依存性についてのデータを取得した。その結果、 (1)厚翼は矩形翼、デルタ翼共にRe<4×10^4の領域において非線形な空力特性となる。 (2)平板は矩形翼、デルタ翼共に線形的な特性を示し、低迎角においてはRe数依存性が小さい。 (3)平板はRe>3×10^6の領域になると最大揚力係数が小さくなる。 (4)低Re数領域では薄翼が、高Re数領域では厚翼が揚力特性は優れている。が分かり、低Re数領域での三次元翼周りの特異な空力現象を幅広く明らかにすることができた。 またPC16台をクラスター化し、並列計算を目的とした数値計算システムを構築した。まず2次元翼NACAOO12回りの非圧縮性流れについて、NS方程式の直接数値シミュレーションを行った。その結果、Re数が3×10^4-7×10^4において迎角が小さい範囲で生じる負の揚力傾斜現象を数値シミュレーションで再現することに初めて成功した。それらの低Re数では翼後半上面での層流剥離や翼後縁から放出される剥離渦に起因して後縁に向かう強い逆流の存在が、翼理論で言うところのクッタの条件とはかけ離れた流れ場を作り出していることが原因であることを明らかにした。 このように風洞試験および数値シミュレーションによって、低Reにおける平面形や翼形の違いによる空力特性データの取得、また翼周りの強い非線性をもたらす空力現象の一端の解明により、火星飛行探査システム用の三次元翼設計に向けて基礎的な知見を得ることができた。
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