2008 Fiscal Year Annual Research Report
極低レイノルズ数での剥離渦構造の解明と火星飛行探査システムの揚力面設計への応用
Project/Area Number |
19656227
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
米本 浩一 Kyushu Institute of Technology, 工学研究院, 教授 (80404101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越智 廣志 西日本工業大学, 工学部, 教授 (10069833)
高藤 圭一郎 西日本工業大学, 工学部, 准教授 (10461485)
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Keywords | 低レイノルズ数流れ / 三次元翼空力特性 / 層流剥離 / クッタの条件 / NS方程式 / 直接シミュレーション / 火星飛行探査システム |
Research Abstract |
1.風洞試験:昨年度高レイノルズ(Re)数遷音速風洞を利用して実施した厚みにある平板翼型を有する矩形翼とデルタ翼について,西日本工業大学の小型変圧風洞により追加風洞試験を実施し,空力特性のレイノルズ数依存性について整理し直した.低レイノルズ数領域では,厚翼より平板の方が良好な揚抗特性を示し,また矩形翼よりデルタ翼の方が迎角に対する中立点の変動は小さいことが分かった.火星で飛行探査を行うRe=10^4から10^5の領域では,キャンバーの少ない薄翼で,アスペクト比の小さなデルタ翼を用いて飛行することが適しているという結論を得た. これまでの風洞試験レイノルズ数よりさらに低いRe=10^4以下のレイノルズ数域での空力特性を得ることを目的として,静水槽を用いた曳航試験装置を製作し,予備試験として矩形翼の揚抗特性を調べた.低レイノルズ数領域で強い非線形的空力特性が改めて確認でき,また他の静水槽試験と一致する結果が得られたが,風洞試験結果とのデータの繋がりは悪く,その差異についての解明が必要である. 2.数値流体力学による検証計算:昨年度NACAOO12翼型周りの二次元非圧縮流れのNavier-Stokes方程式を数値的に解き,低レイノルズ数流れにおける後縁回りの流れにっいて,揚力傾斜が負になるメカニズムを捉えることに成功した.今年度は,同じ流体ソルバーを用いて,より大きな迎角時の空力特性と渦構造との関係を調べた.二次元風洞試験と比べて,揚力係数は概ね一致したが,高迎角になるほど抗力係数とピッチングモーメント係数は異なる傾向になった.迎角が大きくなるにつれて剥離点が前縁側に移動するため,渦の発生点も前縁側に移動すること,また翼上面で時計周りの渦と反時計周りの渦が複数同時に発生するようになり,揚力特性の非線形性に大きく影響するということが分かった.
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