2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19656229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
國中 均 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 教授 (60234465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 宏之 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 助教 (40361505)
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Keywords | イオンエンジン / ドラッグフリー / 微小推力 / マイクロスラスタ / プラズマ |
Research Abstract |
現在,イオンエンジン技術の新たな展開分野が注目されはじめている.太陽輻射圧や大気抵抗を推進器で補償してドラッグフリー状態を作り出し,重力波天文や地球重力場計測を行うのである.しかし,これらのミッションが要求する推力性能は,10μNという微小推力を10Hz以上の高速レスポンスをもってスロットリングするという,これまでにないものである.本研究では,電圧により推力スロットリングが可能であり,かつ簡易性に優れ小型化に適したマイクロ波式イオンエンジンを,新しい宇宙利用の鍵となる上記ドラッグフリー用微小推力スラスタとして応用展開する研究を行った. 本研究の最大の焦点は,研究代表者が築いてきたマイクロ波イオンエンジンの技術を基に,イオンビーム源にも中和電子源にも両用できるプラズマ源を開発しエンジンの小型化を実現する点にある.平成19年度の研究の目的は『イオン源あるいは電子源として使用できる低電力プラズマ源を開発すること』であった.本年度の研究では,これまでの小型イオンエンジン研究とは全く異なる磁場配位および小型容器専用のECRアンテナを用いることにより,1.0Wで動作するマイクロ波放電式プラズマ源を開発することに成功した.このプラズマ源を用いて,電極グリッドの印加電圧を変えることのみによって,イオンビームの引出および中和用電子の引出を試み,これに成功した.研究の進捗が計画よりも捗ったため,次年度計画の一つである同時作動実証に進んだ.プラズマ源を2台用いて同時運転を行い,片方のプラズマ源からのイオンビームをもう片方のプラズマ源からの電子による中和を試みた.各プラズマ源の引出パラメータによって中和が可能であることを示した.これらの実験成果により本研究で新しく提案したイオンエンジンの原理実証がなされた.
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