2007 Fiscal Year Annual Research Report
逆エスチャリー循環が閉鎖性内湾の水環境に及ぼす影響について
Project/Area Number |
19656233
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
安達 貴浩 Kagoshima University, 工学部, 准教授 (50325502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山城 徹 鹿児島大学, 工学部, 准教授 (20158174)
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Keywords | 鹿児島湾 / 残差流 / 表層流入,底層流出 |
Research Abstract |
本研究では,鹿児島湾を研究対象として取り上げ,(1)同湾で発生している可能性のある「表層流入,底層流出」という残差流パターンの発生メカニズムを明らかにすること,さらには(2)同湾の環境容量を算定するとともにこのような流動パターンが湾内の水環境に及ぼす影響を定量的に評価することを目的としている. これまでと同様に月に1度の割合で,ADCPによる湾口部の流れの横断構造を観測するとともに,本年度は,鹿児島湾湾口部の2地点に流速計を計8機係留し,成層期の約2ケ月間にわたり定点での流況観測を実施した.この結果,成層期において,「表層流入,底層流出」という残差流パターンが実際に存在することが確認された.また,風,河川流量,黒潮の運動量,外海と内湾との間の水温の違いなどの外力と流動パターンとの相関関係を明らかにした.現状では,「表層流入,底層流出」発生メカニズムを完全に説明するまでには至っていないが,黒潮の接岸により外海では表層水温が比較的安定しているのに対し,湾内では,数日間日射量が減少すると湾内の表層が冷却され,この結果,湾口から湾奥にかけての密度成層のバランスが崩れて密度流として上記残差流が生じている可能性が示された. 現在,数値シミュレーションを実施中であるが,現地観測結果を検証データとして計算結果をまとめることにより,上記の推定の検証が可能となると考えている. さらに流動と湾内の水質との関係を明らかにするために,多項目水質計や採水の分析による水質観測も実施している.
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