2009 Fiscal Year Annual Research Report
鉱物の共生効果によるアミノ酸重合触媒作用-新しい分子進化工学の創生を目指して-
Project/Area Number |
19656236
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 努 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 准教授 (10313636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福嶋 正巳 北海道大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40344113)
米田 哲朗 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00002056)
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Keywords | アミノ酸 / ペプチド / メラノイジン / 鉱物 / 粘土鉱物 / 触媒 / 分子進化工学 |
Research Abstract |
21年度は、昨年度より行ってきた構造や組成の異なる単一鉱物のペプチド生成反応に対する触媒作用の比較・検討を継続するとともに、それらの共生効果についての検討を行った。今回検討した鉱物は、Ca-、Na-、H型モンモリロナイト、γ-アルミナ、ヘクトライト、バイデライト、石英、ペリクレイス、カルサイト、ドロマイト、カオリナイト、クリソタイル、ハイドロタルサイトである。今回の実験で生成されたペプチドは、2量体の環状無水物(DKP)と2~6量体の直鎖状ペプチドであった。鉱物を付加しないコントロールと比べると、鉱物を用いた全ての実験で鉱物によるアミノ酸重合触媒作用が認められた。ただし、ペプチドの生成量は使用した鉱物によって顕著な違いが認められ、高い触媒能を示したのはカルサイトやドロマイト等の炭酸塩鉱物であった。また、ほとんどの鉱物は相対湿度50%にて最も高い触媒効果を示し、相対湿度を制御して鉱物表面でのDKP生成を抑制し、より長い直鎖のポリペプチドの生成を可能にしているものと推定する。また、2つの鉱物を混合した系でのペプチド生成反応に対する触媒作用を比較検討したところ、モンモリロナイトとカルサイト、ハイドロタルサイトとカルサイトを混合した系で、単一鉱物を用いた系より顕著に高い触媒作用を示すことが明らかとなった。これはカルサイト表面が負に帯電しているため、アミノ基がカルサイト表面において脱プロトン化し易く、その結果としてモンモリロナイトやハイドロタルサイト端面でのアミノ酸重合触媒効果が促進されたものと考える。以上のことから、アミノ酸重合触媒効果を促進してより長鎖のペプチドを形成するためには、鉱物の共生効果が高い混合系において相対湿度を50%程度にコントロールした状態でエージングすることが最も有効であると推定された。
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Research Products
(11 results)