2008 Fiscal Year Annual Research Report
透過型浄化壁における微生物群集構造の長期モニタリング
Project/Area Number |
19656239
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平島 剛 Kyushu University, 工学研究院, 教授 (00175556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹木 圭子 九州大学, 工学研究院, 准教授 (30311525)
土居 克実 九州大学, 農学研究院, 講師 (40253520)
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Keywords | 透過型浄化壁 / 微生物群集構造 / 硫酸還元菌 / 地下水 / イオウ酸化細菌 |
Research Abstract |
前年度終了したカラム通水実験のカラム内容物の化学成分分析を蛍光X線分析法およびX線回折分析によりおこなった。蛍光X線分析結果からヒ素はカラム入り口から出口へと蓄積量が減少する傾向が顕著に見られ、X線回折分析からはゲータイト、レピドクロサイト、マグネタイト、フェリックアルセネイトの形成が見られ、Fe(III)系鉱物とヒ素が共沈している可能性およびFe(III)との沈殿形成が強く示唆された。カラム残渣の形態を走査電子顕微鏡により観察し、その一部をSEM-EDXにより元素マッピングをおこなったところ、炭酸カルシウムの析出部分にヒ素の分布が重なっており、炭酸塩との共沈も明らかとなった。また一部の試料中のヒ素の化学状態をX線光電子分光法により測定し解析した結果、ヒ素はヒ酸および亜ヒ酸ともに鉄粉表面に検出され、吸着と酸化、共沈により不動化されたものと考えられる。ヒ酸を還元する微生物の寄与は固体分析からは明らかにはならなかった。硫酸還元菌により生じたはずである硫化物の存在はX線回折分析から明らかとはならず、結晶性が低かったためと思われる。このように前年度おこなったカラム試験では、固体残渣分析によれば、化学的な作用によるヒ素の不動化の証拠が強く表われて、微生物作用によるヒ素の不動化の証拠はそれに隠れ目立たない結果となった。しかし、溶液分析によれば、硫黄同位体効果やDGGE-PCR法による微生物群集構造解析から、確かに硫酸還元菌が寄与していたことが確かめられた。これらのことから、数十年持続させる透過型浄化壁に対して嫌気性微生物反応を主な浄化コンセプトとする場合、内容物に含める炭素源の選択、その供給量は、設計段階で予測しなければならない重要な要素となることが確認された。
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Research Products
(6 results)