2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19656248
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 勲 Osaka University, 工学研究科, 准教授 (30273600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮丸 広幸 大阪大学, 工学研究科, 助教 (80243187)
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Keywords | 中性子 / 検出器 / BNCT / 磁気モーメント / ナノコイル / 透過型 |
Research Abstract |
本研究では、新しい原理に基づく中性子検出器の可能性を検討することを目的とする。中性子の測定は、中性子に電荷が無いため困難である。通常は、核反応を利用し、発生する荷電粒子を測定する。が、その場合、どうしても中性子の詳細な情報を得ることが難しくなる。これまで用いられてきた中性子サーベイメータは、ある物理量(線量)を得ることだけを目的とした特殊なものである。しかし将来、人類が宇宙に進出し、開拓していくことを考えたとき、また中性子を医療に利用するような場合(例えばBNCT)には、もっと詳細な、つまり、中性子の"エネルギー"と"強度"の情報を正確に知る必要が生じてくる。しかし現状、その技術は、特殊な研究を目的とした大掛かりな装置を用いる以外不可能である。本研究では、中性子の透過型検出器を世界で初めて実現する基礎研究に取り組む。中性子は、極微量の磁気モーメントを持つため、小さな磁石と考えられる。それによる電磁誘導現象を利用する。しかし、誘起電流は極めて微少であるため、ナノコイルを利用する必要があると考えられる。今年度は、ナノ検出器の試験的な製作に取り組んだ。ナノサイズの検出器を取り扱えるマニピュレータを製作し、ナノコイルを電極間に引っ掛け、デジタルマイクロスコープで観察しながら、中性子照射による信号計測を実施した。理論上は、ノイズがなければ、測定にかかる可能性があることが分かっているが、ノイズが大きく、約1桁分の信号強度の増大が必要になることが実験の結果判明した。これには、コイルの巻数を増やすか、もしくは巻半径を小さくことが有効である。透磁率の高い金属をコイルの軸として装荷することも考えられる。以上の研究により、現状把握を終え、実現のために必要な要件が分かった。今後は、ナノ中性子検出器の実現のため、ナノコイルの性能の改善を目指す研究を実施する。
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