2008 Fiscal Year Annual Research Report
制限酵素修飾酵素遺伝子の利己的ライフサイクル:転移・増幅・伝達の実験室での再現
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19657002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 一三 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30126057)
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Keywords | ゲノム構築 / ゲノム機能 / ゲノム再編 / ゲノム発現 / ゲノム維持 |
Research Abstract |
(A)転移の再現系。PaeR71制限修飾遺伝子を複製が高温感受性のプラスミドに連結し、高温へのシフトを行い、染色体のISとのCo-integrate形成による染色体への転移など、3つのタイプの産物が観察されていた。制限酵素活性を欠損するコントロールでも細胞数の増加が起きないように、抗生物質で処理し続けたところ、制限酵素の活性に依存して転移産物の頻度が選択的に増加する事が示された。マイトマイシンC処理では、制限酵素活性を欠いたコントロールでも頻度の上昇を観察した。 (B)増幅の再現系。大腸菌染色体上でEcoRI制限修飾遺伝子がいったんタンデムに増幅すると、制限酵素活性に依存して、その状態が維持されることを示した。これは、突然変異生成の機構に関連する発見である。枯草菌染色体でBamHI制限修飾遺伝子と抗生物質耐性遺伝子からなる単位をタンデムに増幅させた場合、その産物の抗生物質耐性遺伝子産物活性がコピー数に比例して上昇するが、BamHI制限酵素の活性はそれほど増加しないことを示した。これは、制限修飾系の自己増殖が遺伝子産物の発現に有効であることを示す。黄色ブドウ球菌10株のゲノム配列での、タンデムなパラログ・クラスターを分子系統学的手法で解析し、「遺伝子の中央の保存部分の間での組み換えによるゲノム再編」「遺伝子の3'部分プラス下流の遺伝子の5'部分が単位になっている」という進化機構を示唆した。これは、種内多数株のゲノム配列比較によって進化機構を明らかにした例となった。 (C)伝達の再現系。染色体でBamHI遺伝子を増幅させた枯草菌から抽出したゲノムDNAをドナーとして自然形質転換を行い、増幅による形質転換体の頻度の上昇を調べた。
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