2007 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンによる排卵誘導機構の解明のための新発想と新手法
Project/Area Number |
19657021
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 孝行 Hokkaido University, 大学院・先端生命科学研究院, 教授 (80197152)
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Keywords | 排卵誘導 / プロスタグランジン / メダカ / 排卵酵素 |
Research Abstract |
排卵は卵細胞が卵巣から放出される現象を指し,卵巣機能の最も重要なイベントである。排卵は内分泌的制御のもとにあり,これには脳下垂体ホルモンの黄体形成ホルモン(LH)が関与する。LHと並んで、排卵誘導作用をもつ因子としてプロスタグランジン(特にE2とF2α)が古くから知られている。このプロスタグランジンの排卵誘導作用は、哺乳類に限らず,マスやキンギョなどの魚類においても報告されている。しかしながら,プロスタグランジンのこのような作用の背景にある分子メカニズムは未だに解明されていない。排卵の分子機構が解明された唯一の種であるメダカを材料として,脊椎動物に共通する「プロスタグランジンによる排卵誘導の分子メカニズム」を解明することが,本研究の目的である。本年度においては、以下の研究成果が得られた。 1.メダカ卵巣からくり抜いた濾胞を用いたin vitroで排卵実験系において、プロスタグランジンE2の排卵への作用を調べた。調査した濃度(1〜10μM)では排卵のタイミングを促進する効果は認められなかった。 2.メダカ卵巣におけるプロスタグランジン合成系の有無を調べるために、Cyclooxygenase(COX)遺伝子の発現を調査した。COX-1及びCOX-2遺伝子の発現をRT-PCRによる解析の結果、卵巣ではCOX-2遺伝子のみが発現していた。さらにCOX-2の発現は排卵時期の濾胞細胞層に限局しており、排卵との関連が示唆された。 3.COX-2遺伝子産物は、哺乳類のCOX-2とは異なり、シグナルペプチドをもつ分泌性タンパク質であることが示唆された。単離したCOX-2 cDNAをCHO細胞を用いてリコンビナントタンパク質を発現させると、培養液に分泌されることを確認した。よって、メダカでは哺乳類とは異なる細胞分画で合成されることが考えられた。
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