2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19657023
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
平塚 理恵 Jikei University School of Medicine, 医学部, 講師 (30246376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 陽子 日本女子大学, 理学部, 助手 (10174749)
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Keywords | 裸子植物 / 花粉管 / 珠心組織 / 細胞間コミュニケーション |
Research Abstract |
本年度は主にサワラおよびシナマオウについて花粉管伸長に対する珠心組織の役割について解析を行った。 サワラ(Chamaecyparis pisifera):花粉管は受粉から受精までの約2か月間、珠心中を断続的に伸長する。花粉は受粉から約1週間後に発芽、分岐しながら2週間伸長した後、伸長を停止する。その後、造卵器形成時に、分岐した花粉管の中の一本のみが伸長を再開し精子細胞を運搬する。花粉管周辺の珠心細胞はオートファジーを伴った細胞死を遂げる。被子植物において、花粉管伸長への関与が示されているペクチン、アラビノガラクタンタンパク質(AGPs)およびペクチン分解酵素(Cryjl、Cryj2)の分布について解析した。ペクチンは珠心全体と雌性配偶体の造卵器室周辺、AGPsは珠心頂端側の細胞壁と細胞間隙に分布した。また、Cry J1は珠心の頂端側に、Cry J2は花粉管壁にそれぞれ分布した。 シナマオウ(Ephedra sinica):受粉に先立ち雌性配偶体では造卵器が、珠心では雌性配偶体に到達する深い花粉室が形成される。珠心にデンプン粒はほとんど見られない。花粉室で発芽した花粉管は分岐せずに伸長する。受粉から受精までの期間は約2日であり、精子細胞は一つの細胞に、大小の2つの核を持つ。珠心組織では、メチルエステル化ペクチンが細胞壁と細胞間隙に分布したが、AGPsの分布は見られなかった。 来年度は、イチョウについて解析を行うことで、様々な進化段階の裸子植物について花粉管と周辺組織の相互関係を明らかにすることができると期待される。
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