2008 Fiscal Year Annual Research Report
未知翻訳後修飾にも対応する翻訳後修飾の一斉定量分析法の開発
Project/Area Number |
19657032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
足立 淳 Kyoto University, 地球環境学堂, 助教 (20437255)
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Keywords | 翻訳後修飾 / 質量分析 / プロテオーム |
Research Abstract |
細胞内・細胞外の環境変化に反応するタンパク質の修飾を網羅的に検出するシステムを構築するために、今年度は(1)サンプル前処理法の最適化(2)ペプチド配列同定フローの整備を行った。具体的にはSILAC法により、培養細胞内蛋白質のアルギニンとリジンを安定同位体(12C体と13C体)アルギニン、リジンに置換した。SILAC標識細胞を等量混合し、細胞質蛋白質をゲル内消化法・溶液内消化法によって断片化し、生成されたペアピークの相対定量を行ったところ、定量精度は両方法ともに1.5倍以内であった。 次にデータベース検索ソフトProteinLynxを使用して翻訳後修飾ペプチド配列同定・定量系を構築した。実際に過酸化水素を曝露したSILAC標識細胞を用いて、酸化ストレス応答修飾を探索した結果、酸化ストレス応答蛋白質である、ペルオキシレドキシン6のスルフォン化が検出された。フラグメント化時に安定な修飾であるシステインのスルフォン化は、修飾を含むフラグメントの質量分だけシフトしており、またペアピークのMS/MSスペクトラを比較すると、yイオンシリーズがアルギニンの質量差だけずれているため、yイオンシリーズの帰属の判定性が明確になり、同定精度が大幅に向上した。また経時変化を観察することにより、ペルオキシレドキシン6のシステインが曝露後15分で80%程度、90分では95%酸化されていることが分かった。以上より翻訳後修飾の同定し、その時間的な動態を定量することに成功した。次年度は構築しているペプチド配列同定・定量系のハイスループット化を行うことが課題である。
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Research Products
(1 results)