2008 Fiscal Year Annual Research Report
朝方・夕方の概日リズム二峰性は時計遺伝子ピリオドのスプライスバリアントが創る
Project/Area Number |
19657033
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
下東 康幸 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (00211293)
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Keywords | 核酸 / 選択的スプライシング / 概日リズム / 生物時計 / 時計遺伝子 |
Research Abstract |
概日リズムは、原核細胞からヒトまで、地球上のほとんどの生物に見られる約24時間周期の生物時計である。我々は、サーカディアンリズム(概日リズム)の発振に必須な時計タンパク質ピリオド(タンパク質をPERIOD、遺伝子をperiodと表記)に、複数の選択的スプライシングが存在し、このため8〜12種類のバリアント(アイソフォーム)が存在すること、そして、これらの発現が朝方と夕方の2回発現ピークを持った二峰性を示すこと、これらを世界に先駆けて明らかとした。本研究では、ショウジョウバエにおける「朝」「夕」の活動リズム発振の仕組みを、PERIODアイソフォームが担っているという作業仮説を証明することを目的とする。平成20年度には次のような成果を得た。(1)PERIODがTIMELESSとともに発現調節する概日リズムペースメーカーホルモンPDFの遺伝子pdf mRNAにもアイソフォームが存在することが判明した。(2)pdf mRNAのアイソフォームの発現にも、朝にピークに達するもの、夕にピークに達するもの、そして、朝と夕の両方にピークを持つものが存在することが明らかとなった。また、朝と夕の中間にも小さな発現ピークを持つものがあることが明らかとなった。(3)pdf mRNAのアイソフォームの発現では、PDFペプチドにアイソフォームはなく、PDFと同じ遺伝子にコードされるペプチドPAPにアイソフォームがあることが明らかとなった。このように、発現がPERIODアイソフォームのリズムに酷似していることより、朝夕の活動リズムを示す同じニューロンに発現しているものと思われた。一方、こうしたニューロンを同定するため、まずin situハイブリダイゼーションを試みたが、これらのアイソフォームを異なるニューロンに同定するには至らなかった。今後、こうしたニューロンの同定が必要である。
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Research Products
(7 results)