2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19657039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中瀬 由起子 Kyoto University, 放射線生物研究センター, 研究員 (80402923)
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Keywords | シグナル伝達 / 栄養源枯渇 / TSC / ユビキチンリガーゼ / アミノ酸透過酵素 |
Research Abstract |
細胞が増殖や成長を停止した状態をGO期と呼ぶ。GO期の特徴は、細胞が外部の環境条件に合わせ素早く成長を停止し(GO状態)、かつ急速に増殖サイクルに戻るというその反応の素早さにある。GO状態は高等生物から酵母にまで広く見られる現象であり、とりわけ興味深いのは、いずれの生物種も比較的小さな分子であるアミノ酸や糖に対して、その存在の有無を正しく検知し、細胞の増殖のタイミングを正確につかむという、そのシグナル伝達経路の正確さと早さである。そのシグナル伝達経路に位置する因子としてTSC1/2が知られている。申請者は、遺伝学的操作が容易な分裂酵母のtsc1^+・tsc2^+遺伝子をモデル系として用いている。tsc1^+とtsc2^+のいずれかの遺伝子を欠損する変異株(Δtsc1,Δtsc2)では、栄養源に対する応答が異常になる。Δtsc2の形質を抑圧する変異株の取得を試みたところ、ユビキチンリガーゼE3(Pub1)の変異株を得た。ユビキチンリガーゼPub1の変異がTsc2の変異を抑圧する機構を明らかにすることを目的に今年度は研究を行ってきた。 栄養源が豊富にある環境では、アミノ酸透過酵素(SPBC359.03c)はゴルジ体に局在している。栄養源枯渇環境にさらすと、アミノ酸透過酵素は5分以内に細胞膜に局在を移し、再度、栄養源を添加すると10分以内に再びゴルジ体に局在を移すことがわかった。興味深いことに、Δpub1やΔtsc2Δpub1二重変異株では、アミノ酸透過酵素は栄養源が豊富にある環境でも細胞膜局在を示した。また、Δtsc2Δpub1二重変異株では、Δtsc2の形質であるカナバニン耐性が抑圧される他、アミノ酸(ロイシン)の取り込み欠損も抑圧された。これらのことから、Pub1はアミノ酸透過酵素の局在を制御することによって、Tsc2の変異を抑圧している可能性が示唆された。
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