2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19657039
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中瀬 由起子 Kyoto University, 放射線生物研究センター, 研究員 (80402923)
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Keywords | シグナル伝達 / 栄養源枯渇 / TSC / ユビキチンリガーゼ / アミノ酸透過酵素 |
Research Abstract |
結節性硬化症(TSC)は、全身に過誤腫とよばれる良性腫瘍ができる重篤な遺伝性疾患である。原因遺伝子はTSC1とTSC2の二つ存在し、いずれかに変異があると発症する。Tsc1とTsc2は複合体を形成し、低分子GTPaseであるRhebを負に制御するGAP(G__-TPase A__-ctivating P__-rotein)として働き、Rhebの下流のTOR(T__-arget o__-f R__-apamycin)と呼ばれるキナーゼを制御している。TORキナーゼは細胞増殖とともにアミノ酸の取り込みの制御も行っていることが報告されている。 申請者は、このシグナル伝達経路が保存されている分裂酵母を用いて、tsc2遺伝子破壊株(Δtsc2)を作製し解析を行ってきた。Δtsc2では、アミノ酸の取り込み能の低下、アルギニン類似体であるカナバニンへの耐性、窒素減涸渇応答の遅延が見られた。この形質を抑圧する変異株を取得したところ、ユビキチンリガーゼE3をコードするpub1^+と、エンドサイトーシスに関与するアレスチンのホモログany1^+の変異体を得た。 Pub1,Any1それぞれの変異体では、アミノ酸透過酵素の局在制御が異常になり、本来ならば栄養源がリッチである環境ではゴルジ体に、枯渇時には細胞膜に局在するアミノ酸透過酵素が、細胞膜に局在したままとなり変化しなくなる。これは、Pub1またはAny1の変異により、アミノ酸透過酵素をエンドサイトーシスにより細胞内部に取り込めなくなった結果であると考えられる。またPub1とAny1は栄養源がリッチな環境ではゴルジ体に局在が見られるが、枯渇時には細胞質全体に広がって観察された。さらにAny1の局在はPub1に依存していることがわかった。これらのことから、Pub1とAny1は協調的に働き、アミノ酸透過酵素の局在を制御していると予想された。
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