2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19657054
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
廣瀬 哲郎 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 生物情報解析研究センター, 研究チーム長 (30273220)
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Keywords | 遺伝子発現 / ノックダウン解析 / 細胞核 / non-coding RNA / 細胞周期 |
Research Abstract |
ヒトの培養細胞に合成キメラオリゴヌクレオチドを導入することによって、核内RNAを特異的にノックダウンする実験系の条件検討を行なった。これまで機能不明のオーファンsnoRNAであるU84 snoRNAをモデルにして一本鎖領域に対して相補的なキメラオリゴを設計し電気的に細胞内に導入した結果、これまでの遺伝子導入試薬による導入効率に比べて飛躍的に効率化が認められた。この実験系で今年度は、ノックダウン特異性の検討、持続性の検討、他の核内non-coding RNAへの拡張、他の培養細胞への拡張を試みた。特異性については、標的配列が20塩基中たった3塩基のミスマッチを有するU83 snoRNAに対してU84ノックダウンオリゴを試したところ効果がなかったことから、このオリゴは3塩基のミスマッチを識別して作用していることが証明された。持続性については、導入オリゴの濃度に依存することが明らかになり400pmo 1の導入オリゴを用いた場合、96時間後までく10%程度のノックダウン効果を維持できることが明らかになった。この方法を他の核内non-coding RNAのノックダウンに拡張した。これまでデータベースに登録されている100種類程度の機能未知のオーファンsnoRNAの中から、18種類のboxC/DおよびboxH/ACA snoRNAに対してノックダウンオリゴを設計し、効率よくノックダウンできることを確認した。さらに核質に局在するU7 snRNA、テロメラーゼRNAについても効率よくノックダウンすることに成功した。上記の核内ノックダウン実験は、すべてHeLa細胞を用いて行なったものである。そこでこの核内ノックダウンが他の培養細胞においても有効化どうかを明らかにするために、ヒトの癌細胞株のHEK293,MCF7,T24,Jurkat,HPB-ALL,A549,LNCap、ヒト繊維芽細胞のMRC5、マウス培養細胞のNIH3T3において効率よく核内non-coding RNAのノックダウンが確認されたことから、この手法は汎用性の高いものであることが示された。最後に核内ノックダウン法によって、特定の核内non-coding RNAをノックダウンした際にどのような表現型変化を引き起こすかについて、U7 snRNAを例に解析を行なった。その結果、U7 snRNAのノックダウンによって、通常見られないpolyA鎖をもつmRNA種が出現し、細胞周期がS期において著しく遅延する表現型を観察した。以上のことから、核内non-coding RNAを標的としたノックダウン解析法は、以上に特異的で高効率で、かつ汎用性が高いこと、さらに表現型変化を引き起こすことなどを示すことができ、非常にパワフルな解析法であることが示された。
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Research Products
(15 results)