2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19657056
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松浦 彰 Chiba University, 大学院・融合科学研究科, 教授 (10272692)
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Keywords | 細胞老化 / テロメア / テロメラーゼ / リソソーム・液胞 / 出芽酵母 |
Research Abstract |
細胞老化はテロメア短縮,DNA傷害などゲノムの損傷により誘導される。一方,細胞の老化過程に,分解経路を介した細胞内構成因子のクオリティーコントロールが関与していることが知られている。本研究は,老化過程におけるゲノム恒常性変化とタンパク質の質的制御との関連に注目し,ゲノム情報を格納する場である細胞核,および分解に関わるリソソーム・液胞というオルガネラ間の未知の連携機構を明らかにすることを目的とした。 単細胞の生活環で増殖する出芽酵母では常にテロメラーゼが発現しており,このためテロメア長の短縮による老化誘導は見られない。テロメラーゼのRNAコンポーネントTLC1を培地条件により欠損する株を作成し,テロメア短縮による老化過程を模倣する株を作成した。この株では,テロメアが短縮するにつれ増殖速度が低下し,その際に細胞体積が極端に増加することが観察された。また,体積が増大した細胞においては,液胞のサイズ,形状が大きく変化していた。 そこで,tlc1と液胞形態形成異常変異との二重変異株を作成し,細胞老化過程への影響を観察したところ,細胞増殖速度が早期に低下し,その際にtlc1株に比較して生存率が大きく低下することが観察された。同様の早期老化表現型は,他の液胞関連変異との二重変異株においても観察された。このことから,テロメア短縮による細胞老化過程において,特に老化した細胞の恒常性の維持に分解コンパートメントの機能が重要であることが示唆された。
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