2007 Fiscal Year Annual Research Report
初期胚のタンパク質分解におけるオートファジーの関与
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19657058
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
水島 昇 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10353434)
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Keywords | オートファジー / 初期胚 / タンパク質分解 / 受精 / リソソーム / 卵特異的遺伝子ノックアウト |
Research Abstract |
受精直後の細胞質に存在するmRNAとタンパク質のほとんどは卵細胞由来であり、発生が進むとともにこれらは受精卵ゲノムに由来するmRNAやタンパク質に置き換わっていく。しかし、母性タンパク質がどのようにして大規模に分解されているかは明らかにされていない。我々はこの過程にオートファジーが関与している可能性を考え、以下の実験を行った. まず我々が従来用いてきた全身のオートファゴソームが蛍光標識されるGFP-LC3マウス由来の卵を解析したところ、未受精卵ではオートファジーはおこっていないが、1細胞後期以降の胚ではオートファジーが活発におこっていることが観察された。このことは電子顕微鏡観察によっても確認された。またこの際リソソーム阻害剤(E64dとペプスタチン)を添加すると、これらのGFP-LC3のドットの多くはリソソームマーカーと共局在したため、これらは通常速やかに初期胚細胞のリソソームで分解されていると考えられた。これらのデータは初期胚でのオートファジーの重要性を示唆するものの、我々が以前に作成したAtg5の全身ノックアウトマウスはほぼ正常に出生する。しかしこれは初期胚の細胞質に残存する母性Atg5によって表現型がレスキューされている可能性があったため、今回は卵特異的Atg5ノックアウトマウスを作製し、初期胚発生におけるオートファジーの意義を解析した。これまでの結果から初期胚での完全オートファジー欠損は着床前に致死となることが明らかになっている。その詳細なステップとメカニズムを今後検討する予定である。
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