2007 Fiscal Year Annual Research Report
抗体エンジニアリングによるヒストン修飾シグナル可視化システムの開発
Project/Area Number |
19657060
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 宏 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 准教授 (30241392)
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Keywords | ヒストン / クロマチン / 翻訳後修飾 / 染色体凝縮 / モノクローナル抗体 / GFP / リン酸化 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
ヒストンの翻訳後修飾は、エピジェネティックな遺伝子発現制御、DNA損傷修復、染色体の凝縮と分配などのゲノムの維持と発現に重要な役割を果たしている。しかし、その修飾を生きた細胞内でリアルタイムに観察することはほとんど行われていない。そこで、ヒストンの修飾が「いつ」、「どこで」起こるのかを系統的に明らかにするための実験手法を確立することを主な目的として、本研究を進めている。まず、H3 Ser10のリン酸化(H3S10P)抗体など、いくつかの修飾ヒストン抗体を産生するハイブリドーマから、IgGの重鎖と軽鎖をそれぞれクローニングした。そして、それらを緑色蛍光蛋白質(GFP; green fluorescent protein)と融合した一本鎖可変領域抗体(scFv; single-chin variable-region fragment)として発現するコンストラクト(GFP-scFV)を作製した。これらのGFP-scFV融合蛋白質を培養細胞中で発現させたところ、ほとんどのGFP-scFVは細胞質中で凝集してしまい、染色体への結合は見られなかった。この要因として、可変領域の蛋白質の折りたたみが正常に行なわれないことやS-S結合が必要であることなどが考えられた。そこで、可変領域に限らずFabとして発現させることや細胞外に分泌させるような手法を検討中である。また、ひとつのクローンは、凝集せず分裂期の染色体に結合したが、間期の細胞核のクロマチンへの結合も見られた。そこで、その特異性について生化学的解析を進めている。
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