2007 Fiscal Year Annual Research Report
核-細胞質間物質輸送制御の視点からの脳性差発現機構解明へのアプローチ
Project/Area Number |
19657062
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
米田 悦啓 Osaka University, 生命機能研究科, 教授 (80191667)
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Keywords | 核蛋白質輸送 / importin α / importin β / 性差 / 脳機能 / 核輸送因子 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
核-細胞質間蛋白質輸送機構に関する研究は、importin βファミリー分子、importin αファミリー分子、低分子量GTPase Ranやそのサイクルに関する因子群の性状解析が精力的に進められ、輸送機構に関する基本的な分子メカニズムが提唱される段階にまで研究は進展した。しかし、核-細胞質間蛋白質輸送が、個体発生、細胞分化・増殖、細胞周期といった様々な生命現象とどのように深く関連しているのかという点についてはほとんど研究が進んでいない。本研究では、マウス脳において蛋白質の核輸送機構に性差による制御が存在し、それらが脳の性差発現に重要である、という仮説の下に、1)性差に着目したマウス脳における核輸送因子発現の網羅的解析、2)発現に性差が見られる核輸送因子により運ばれている脳の性差決定(維持)候補因子の同定、3)性差の見られた核輸送因子の脳内特定部位特異的なコンディショナルノックアウトマウス、及び脳の性差決定(維持)候補因子のノックアウトマウスを用いた脳性差発現の解析を行うことを目的として研究を進めた。その結果、importin αファミリーに属する分子の1つであるimportin α5(NPI-1)の発現量が、蛋白質のレベルで、雌の脳(小脳、中脳、前頭葉、海馬、嗅球など)において増加していることが明らかとなった。一方、importin βの発現量には顕著な雌雄差は見られなかった。現在、他のimportin βファミリー分子についても、質の高い抗体を手に入れる努力を続けて発現パターンの解析を進めるとともに、importin α5に雌雄差のあることの意義解明に向けた研究を進めている。
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