2007 Fiscal Year Annual Research Report
ウミユリ類の再生における神経の役割の分子機構の解明
Project/Area Number |
19657064
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤坂 甲治 The University of Tokyo, 大学院・理学後研究科, 教授 (60150968)
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Keywords | 発生 / 分化 / 再生 / 神経 / 分節 / Notch / hairy / ニッポンウミシダ |
Research Abstract |
(1)腕の再生中のニッポンウミシダ個体における神経節特異的に発現する遺伝子を特定化する目的で、腕を切断してから1時間後、5時間後、1日後、再生芽が形成され始める3日後、神経索が再生芽に入り込む1週間後の個体と、無処理の個体の神経節からRNAを抽出した。これらをプローブにウミシダの神経節のマイクロアレイを用いて、スクリーニングすることを試みたが、高品質のRNAを抽出することに多大な時間がかかるとともに、神戸理化学研究所の機器にトラブルが生じたため、昨年度は遺伝子の特定化はできなかった。したがって、今年度も再生時に神経節で特異的に発現する遺伝子の特定化を継続することになった。一方、(2)実験動物として安定的に確保するための飼育技術の開発は順調に進み、卵から性成熟に至るまで、隔離施設内で多数の個体を得られるようになった。また、(3)形態的解析により、初期の再生芽の未分化細胞の集団から、骨片の形成、再生芽への神経の進入と靭帯の形成、筋肉の形成という過程を経て腕の分節構造が分化することが明らかになった。(4)脊椎動物の分節形成に重要な役割を果たすNotchとhairyホモログをニッポンウミシダからクローニングし、in situhybridizationにより再生芽における発現パターンを解析したところ、Notchは腕の先端の未分化な細胞集団の領域で発現し、その発現境界は、未分化細胞集団と分節形成が起こっている領域との境界にほぼ一致することが明らかになった。これにより、棘皮動物の分節形成においても、脊椎動物と同様の分子メカニズムが用いられていることが強く示唆され、新口動物における分節形成の分子機構は保存されている可能性を示すことができた。Hairyについては解析中である。
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