2007 Fiscal Year Annual Research Report
生命進化における原始RNPネットワーク・モデルの人工再構成
Project/Area Number |
19657071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井川 善也 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 准教授 (70281087)
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Keywords | RNA / RNP / ポリペプチド / 複合体 / 分子進化 |
Research Abstract |
本研究では、申請者が従来行ったRNA酵素の分子デザインとRNP複合体の人工創製の研究成果を生かし、未踏領域であるRNAワールドと現存の生命システムを結ぶ「RNPワールド」の再構築に挑戦する。とくに「RNAとポリペプチド間のCross-catalysisとそのネットワーク化」に焦点をあて、最もシンプルなモデル系をデザインし実験的に再構築することに挑戦する。H19年度は、 1)RNAとの非特異的会合によるポリペプチド連結反応の促進 2)RNP複合体の形成によるポリペプチド連結反応の促進 を検討した。 1)RNAとポリペプチドとの相互作用において、最もシンプルな因子はRNAのリン酸バックボーンの負電荷とポリペプチド側鎖の正電荷との静電的相互作用であろうと予想し、正電荷を持つアルギニンを多く含むペピチドのケミカルライゲーションに対するRNAの添加効果を検討した。その結果、RNAの種類により効果に多少の差はあるものの、RNA非存在下ではほとんど反応が進行しない条件下でも、RNAの添加によって有意に反応が加速されることが明らかになった。 2)RNAと塩基性ペプチドとの相互作用による連結反応の促進効果はRNA上へのポリペプチドの吸着による局所的な濃度上昇によると考えられた。RNAの鋳型効果をより積極的に引き出すため、基質となる2分子のポリペプチドを反応に適した位置関係に固定できるRNA分子を分子設計を駆使してデザインした。デザインされたRNA分子は、期待したようにターゲットとなるペプチドの連結反応を効果的に促進した。
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