2009 Fiscal Year Annual Research Report
生命進化における原始RNPネットワーク・モデルの人工再構成
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19657071
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井川 善也 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 准教授 (70281087)
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Keywords | RNA / RNP / ポリペプチド / 複合体 / 分子進化 |
Research Abstract |
本研究では、申請者が従来行ったRNA酵素の分子デザインとRNP複合体の人工創製の研究成果を展開し、未踏領域であるRNAワールドと現存の生命システムを結ぶ「RNPワールド」の再構成に挑戦する。特に「RNAとポリペプチド間のcross-catalysisとそのネットワーク化」に焦点をあて、最もシンプルなモデル系をデザインし実験的に再構成することに挑戦する。 H21年度は、ポリペプチドの連結反応を促進する鋳型分子として最適なRNA構造の探索と最適化を行った。 H20年度にテトラヒメナ・イントロンRNAを基盤とした鋳型RNAがポリペプチドの連結反応を効果的に促進する事を見いだしたが、RNAとペプチド間の静電相互作用によるバックグランド反応も併発する事が明らかとなった。この副反応を最小化するため、テトラヒメナ・イントロンRNAより小型の天然由来のRNA構造と人工デザインしたRNA構造を計4種用いて鋳型RNAをデザインし、その効果を比較した。 その結果、いずれのRNAも非特異的バックグランド反応は顕著に減少した。3種類の1分子からなる構造RNAは小型化に伴う構造の不安定化のため、目的とする特異的反応の収率も低下した。しかし、人工設計された自己2量化能力を有するRNA(tectoRNA)を基盤とした鋳型RNAは特異的反応の収率低下を伴わず、むしろ反応効率の向上が見られ、バックグランド反応も抑制された。これはリボソームが複数のRNAサブユニットから形成される事実と照らし、機能性RNAの進化に対して興味深い結果である。
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