2008 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体から核への遺伝子移行を説明する翻訳不適合説の実験的検証
Project/Area Number |
19657072
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
杉浦 昌弘 Nagoya City University, 大学院・システム自然科学研究科, 名誉教授 (80027044)
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Keywords | 葉緑体 / タバコ / 翻訳 / mRNA / リボソームタンパク質遺伝子 / in vitro系 |
Research Abstract |
葉緑体はラン藻様の原核生物が宿生細胞に共生して生じた。この祖先原核ゲノムは、一部を葉緑体に残し大部分は核に移行した。我々は、翻訳系の変化に対応できなくなった遺伝子が核に移行したという「翻訳不適合説」を立て、この説の検証を我々のタバコ葉緑体融in vitro翻訳系を用いて試みた。 1.タバコ核由来のrbcS mRNAの翻訳速度の測定(中邨) 約1.8kbのタバコ葉緑体rbcL mRNAの翻訳速度を蛍光リジンtRNAの取込みで測定したが、長すぎて翻訳されにくかった。3'末端側を順次欠失させて翻訳効率を上げ、約3分の2を欠失して158コドンにしたものが良い結果を得たので、この短縮rbcL mRNAを使うことにした。一方、核コードのrbcS mRNAはトランジット配列と成熟SSをコードするので、SSコード領域のみを葉緑体rbcL mRNAのLSコード領域と置き換えたキメラmRNAを作製した。この両mRNAのin vitro翻訳を試みたが、再現性ある結果がまだ出ていない。 2,対照実験としての他種のmRNAの調査と調製(杉浦) 対照実験として、葉緑体コードのリボソームタンパク質S2と核コードのリボソームタンパク質L23の遺伝子をまず候補とした。本調査中に、葉緑体のリボソームタンパク質Sl6遺伝子がシロイヌナズナの核にもあり、その産物がミトコンドリアと葉緑体へも移行するとの報告が出たので(Ueda et al.2008)タバコ葉緑体Sl6 mRNAを用いてin vitro翻訳を行っている。タバコのESTも蓄積中なので核ゲノムのS8遺伝子を探索中である。 本計画は完了までに至らなかったが、引き続き研究費を申請して研究を続行する予定である。
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Research Products
(4 results)