2008 Fiscal Year Annual Research Report
イネの低分子RNAによるゲノム寄生因子の動態制御に関する研究
Project/Area Number |
19658003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 豊 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (40345872)
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Keywords | 発生・分化 / 遺伝学 / 茎頂分裂組織 / siRNA / 植物 / イネ / 突然変異体 / シュートレス |
Research Abstract |
動く遺伝子としても知られるトランスポゾンは、真核生物ゲノムの主要な構成因子である。トランスポゾンは転移の過程でしばしば宿主ゲノムに有害な変異を誘発する一方、ゲノムに多様性をもたらし、宿主の環境適応や進化に一定の役割を果たしている。本研究はイネで見つかったトランスポゾンが宿主の遺伝子サイレンシングを利用し自身を活性化する経路の解析を通してトランスポゾンによるゲノムの環境適応・進化機構の解明を目的とする。 平成20年度はトランスポゾン由来のmiRNAであるmiRJを過剰に発現する遺伝子組み換え植物の作成や変異体のスクリーニング、miRJを生産できない系統・変異体、miRJのコピー数の多い系統・少ない系統のスクリーニングを行った。その結果、小分子RNA生成経路の突然変異体において、miRJの蓄積が著しく減少する系統を一つ見いだした。また、クロマチン再構築に関わる突然変異体においてmiRJの発現が上昇していることも見いだした。さらに、様々なイネの野生種・栽培種におけるmiRJの存在の有無を、PCRにより約120系統解析したが、全てで存在していた。野生イネを用いたサザン解析により、イネ属の中にはmiRJのコピー数が著しく上昇している種があることも見いだした。 一方、平成20年度はmiRJ過剰発現が標的遺伝子の発現制御に及ぼす影響を調べるために、単純にmiRJ前駆体を過剰発現する形質転換植物の作成も試みたが、過剰発現体は得られなかった。おそらく、トランスポゾン由来の配列を遺伝子導入したために転写後サイレンシング(PTGS)を受けたためと考えられた。このため、miRJの配列をトランスポゾンと関係のない通常のmiRNA前駆体に組み込んだ人工miRNA前駆体遺伝子をつくり、miRJ配列の過剰発現させる試みを開始した。
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[Journal Article] Identification of precursor transcripts for 6 novel miRNAs expands the diversity of the genomic organization and expression of miRNA genes in rice.2008
Author(s)
Severine Lacombe, Hiroshi Nagasaki, Carole Santi, David Duval, Benoit Piegu, Matine Bangratz, Jean-Christophe Breitler, Emmanuel Guiderdoni, Christphe Brugidou, Judith Hirsch, Xiaofeng Cao, Claire Brice, Olivier Panaud, Wojeiech Karlowski, Yutaka Sato, Manuel Echeverria
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Journal Title
BMC Plant Biology 8
Pages: 123
Peer Reviewed
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