2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19658007
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
笹沼 恒男 Yamagata University, 農学部, 准教授 (70347350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 兼則 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 近畿中国四国農業研究センターパン用小麦研究近中四サブチーム, ザブチーム長 (40442818)
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Keywords | 育種学 / 遺伝学 / 環境 / 野生植物資源 / 作物 |
Research Abstract |
平成20年度及び、延長期間である平成21年度は、日本在来野生ムギ類の遺伝解析に使用できる分子マーカーの開発を行った。まず、日本在来野生ムギ類において、コムギ、オオムギ及び同属の北米産Elymusで開発されたSSRマーカーの使用を試みたが、いずれも非増幅や、非特異的増幅を示し、直接マーカーとしては使用できなかった。そこで、日本在来野生ムギ類で増幅した非特異的なバンドを切り出し、塩基配列を決定し、そこにSSRがあれば、あらたに日本在来野生ムギ類用の改変SSRプライマーを設計するという手法を試みた。コムギ26組、オオムギ10組、北米Elymus24組の計60組の既存プライマーセットを用い、非増幅断片の配列を決定したところ、コムギプライマーから2個、オオムギから1個、北米Elymusから7個の計10個のSSRプライマーが検出できた。これらをもとに設計した改変プライマーで日本在来野生ムギ類のミズタカモジ、カモジグサの多様性解析を試みたところ、5組のプライマーで解析可能なシングル様バンドが検出され、そのうちの1組で種内多型が検出された。これまでの多様性解析では葉緑体SSRでミズタカモジが西日本型と東日本型に大別されることが示唆されていたが、今回開発した新たなSSRでは、ミズタカモジ、カモジグサとも明確な地理的分化は見られなかった。このことから、日本在来野生ムギ類は、多様性は低いものの、地域固有の遺伝的分化をしている可能性が示唆された。また、ミズタカモジとコムギの雑種形成による育種母本の作成に関しては、19年度に引き続きF_1個体のコルヒチン処理と戻し交配を行ったが、いずれも成功しなかった。補助金による研究助成は平成21年度で終了したが、F_1個体は多年生で比較的生育がよく、現在も生存しており、株分けも可能なため、今後も引き続き育種母本作成の原母本として維持、利用していく予定である。
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