2007 Fiscal Year Annual Research Report
ウリ科作物のプログラム細胞死を制御するトレハロースの機能
Project/Area Number |
19658015
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 眞理 Kyushu University, 農学研究院, 教授 (60091394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯浅 高志 九州大学, 農学研究院, 准教授 (40312269)
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Keywords | ニガウリ / トマト / トレハロース / 細胞死 / TPS / SNF |
Research Abstract |
トレハロースは細菌類や酵母、昆虫、植物など多くの生物種の体内に存在する二糖類で、乾燥や塩、低温および高温ストレスなど様々な環境ストレスに応答する生体保護物質として知られている。本研究ではニガウリの長期保存の基礎データを得るため、まずナス科のトマトのストレス耐性メカニズムにおけるトレハロース合成の役割を調べた、トレハロース6リン酸合成酵素(TPS)のクローニングおよび発環解析を行い、AtTPS11と比較的相同性の高い部分長塩基配列Contig15270を得た。Contig15270はAtTPS11と比較して、5'上流部分の配列が明らかになっていなかったので、Inverse PCR法によって全長塩基配列を解析し、得られた遺伝子をSITPS1と名づけた。栄養成長期のトマトに塩・低温・乾燥の各ストレス処理を行ったところ、SITPS1の発現は低温ストレスに応答して最も増加した。10℃で処理した葉では、トレハロース処理区の葉のNMR緩和時間(T_2)値および含水率はコントロール区と同程度であり、対照区と比較して有意差がみられた。このことから、トレハロース処理により低温ストレスが軽減されることが示唆された。次に、生殖生長期の低温ストレスにおいても、葉と茎ともにイオン漏出が軽減された。これらの結果より、栄養生長期と生殖生長期の両方においてトレハロースが低温ストレス耐性を賦与することが明らかとなった。SITPS1遺伝子を酵母tps1またはtps2遺伝子欠損系統に導入して形質転換系統を作出し、SITPS1の温度耐性賦与を調べた結果、SITPS1は酵素としての機能を持つのではなく、シグナル応答物質として働くことが示唆された。 合わせて、ニガウリのストレス応答性プロテインキナーゼSNF1関連キナーゼに着目し、カルシニューリンB様分子結合キナーゼ様分子およびストレス応答性SNF1キナーゼ、SnRK2様分子の発現についても報告し、現在さらに研究を進めている。
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